令和4年度施政方針「命と暮らしを守り、未来を紡ぐ」

令和4年第1回 天理市議会定例会 市長施政方針

 

◆ はじめに(総論)

==新型コロナウイルス感染症への対応==

 新型コロナウイルス感染症が、私たち人間社会を襲ってから2年以上が経過しました。変異を繰り返しながら世界的に猛威を振るい、本年に入ってからも、第6波による感染拡大、高齢者や疾患保有者をはじめ死亡者の増加は、深刻な状況が続いています。

 これまでにお亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、療養中の皆さまのご快復を心からお祈りします。

この間、命と健康を守るため献身的にご貢献くださっている医療従事者の皆さまに、心から敬意と感謝を表します。また、社会経済活動に大きな制約がある中、感染対策にご協力くださっている市民、歯を食いしばって影響に耐えておられる市内県内事業者、社会の維持のため懸命に努力されているエッセンシャルワーカー等、全ての皆さまに重ねてお礼申し上げ、コロナ禍の痛みを少しでも和らげられるよう、天理市として引き続き全力を尽くして参ることをお誓いします。

天理市では、天理地区医師会の全面的なお力添えと市民のご協力により、2回のワクチン接種を全国的にも最速のペースで進めることができました。第6波が、ワクチンの予防効果が減退した時期を襲ってきたことにより、2月に入り重症者が急増している点は否定できません。

市内では、1月中に高齢者施設の3回目接種を完了し、2月末時点の全人口比接種率は、全国平均の倍近い30.2%です。福祉教育、警察消防、衛生分野のエッセンシャルワーカーの優先接種はほぼ完了しました。天理市民へのリスクを下げるためにも、今はオール奈良で協力すべき時と考え、市内居住者に関わらず、県内事業所の受け入れにも対象を拡大しています。

5歳~11歳の児童に対し、ご家庭が希望されれば円滑に接種できる体制を整え、3月1日より開始します。また、医療的ケアが必要な児童や重度の疾患がある児童の先行予約を受け付ける等、医療従事者の助言を十分に踏まえた柔軟な対応を進めています。

検査については、これまで天理地区医師会と共同で独自の検査手配を行い、学校や児童施設への影響緩和に努めてきました。第6波による感染急増により、検査キットの全国的な不足等のため、対応しきれない状況も生じていますが、民間事業者と共働し、2月下旬より3月末まで、「川原城会館」で無料のPCR検査センターを開設しています。

感染者の情報が奈良県から共有されない中でも、本市は令和2年度から自宅療養者等への生活支援を実施しており、令和3年度からは、奈良コープと連携して、食糧品や日用品の無償提供を実施しています。

天理市は市民を守る決意の下、共に市民の代表である市議会と一手一つに保健所機能の強化や医師とのホットライン開設、自宅療養者のケア充実、学校休業等の影響を受ける子育て世帯や事業者への支援、雇用調整助成金の近隣府県との格差解消、飲食店をはじめとする県内事業者への支援拡充など、奈良県に対して積極的に提言して参りました。私たちの声は、市議会議長会や町村議会議長会との声と合わさって、一部は奈良県の対策に反映されています。

しかし、未だに課題は多く、私たちは常に市民目線での提言を続け、命と暮らしを守るために国、県、市町村が一致協力すべきとの一貫した信念に基づき取り組んで参ります。

==持続可能な財政運営を目指して==

コロナ対策、またコロナ後の地域社会の再生に向けて、その礎となるのは持続可能な財政です。令和4年度の政府一般会計予算案は過去最大となり、令和4年度地方財政対策の歳入は、普通交付税の交付団体ベースによる一般財源総額として、令和3年度を200億円上回る62兆円が確保されています。

前年度と比較し、地方特例交付金等は36.6%の減、臨時財政対策債も67.5%の大幅な減となる一方、地方税は8.3%の増、地方譲与税は42.6%の増、地方交付税は3.5%の増となっています。

本市の令和4年度財政状況についてご説明します。一般会計について歳入は令和3年度の決算見込み等により市税は増額を見込んでいるものの、国の地方財政対策による臨時財政対策債を含む地方交付税等は大幅に減額される見込みです。これに加え、天理教本部の大祭や行事が縮小・中止となり帰参の自粛が継続されている影響で、大幅に減少することが想定されていた寄付金が、さらに減少することとなり、2億円を見込んでいます。

かつて年間15億規模で推移していた寄付金が2億円まで減少したことにより、仮に税収で全てを回復しようとすれば、税収70億円台の本市に50億円規模の増収が必要となります。どれだけ移住促進や企業立地に努力しても、およそ実行不可能な数字であることは否めません。

課税事務は、法令に則って厳格に行っており、天理教本部に対して課税対象を急激に拡大できると考える意見があったとすれば、税制度への誤解です。平成10年代までと同等の懐事情での市政運営がもはや不可能であることは、私たちに突きつけられた冷徹な現実です。

しかし、無いものを嘆き続けても活路は拓けません。あるものをどう活かすか、が私たちに問われています。

歳出については、北中学校及び南中学校建設事業の本体工事、幼保再編に伴う南保育所及び前栽幼稚園の子ども園化改修事業が終了するものの、毎年増え続ける扶助費等社会保障関連経費に加え職員退職手当の大幅な増が見込まれています。また、他の学校施設をはじめごみ焼却施設などの老朽化している施設・設備の修繕費用も想定されています。さらに、コロナワクチン接種を始めとした様々な新型コロナウイルス関連予算も計上しています。

令和3年度当初予算と比較すると、数億円規模の財源不足が見込まれましたが、経常経費の削減や国・県支出金の活用に加え、下水道事業会計への繰出金の減少や起債等による財源を確保することにより、令和4年度予算は令和3年度予算より財政調整基金の取り崩しを抑えて組むことができました。

令和5年度以降の事業に目を向けますと、新クリーンセンターの建設が本格化し、最大となる令和6年度の事業費は年間約250億円と想定されており、補助金を差し引いた本市の負担額は57億円を超えると見込まれています。さらに、北保育所の建替えをはじめ、公共施設の老朽化に伴う改修等が予定され、今後もこれらの事業に伴う公債費の増加などが見込まれています。

懐事情は厳しくても、市民の安心安全、福祉や教育などの基礎的なサービスのため必要な支出は出さなければなりません。これまで本市は、「財政構造改革2019」に基づき、持続可能な行政運営の維持に努めてきました。コロナ禍によって、寄付金減少には億単位で拍車がかかったにも関わらず、令和元年度及び2年度も実質収支は10億以上の黒字決算で、令和3年度末時点の財政調整基金残高も11億円規模を維持できる見込みです。市民及び市議会のご協力に重ねてお礼申し上げます。

しなければならないことだけを、最低限おさえるだけであれば、爪に火をともすようにして、なんとか令和一ケタを乗り切ることは可能でしょう。しかし、コロナ後に向けて、地域社会を再生するために、全国の地方都市がこれから知恵を絞り、地方創生は新たな競争に入ると予想します。その時に、私たちは支出せざるを得ないこと、老朽化対策の修繕等で歳出を出し尽くしてしまい、未来を拓くための取組みや投資を一切行わなくても良いのか? これが、私たちが直面している課題です。しかし、これまでと同じ発想、行政運営のあり方のままでは、そうせざるを得ないのが、財政上の見通しからは明らかです。

==コロナ禍がもたらした地域社会への深い傷==

 全国的に第6波のピークは頭打ちと見られるものの、高齢者や疾患保有者を中心に重症者は高止まりが続き、感染対策を緩められる局面ではありません。今後の波を少しでも抑えるためには、3回目接種の加速化が必要です。また、重症化予防のため経口薬を含め薬の有効活用が期待されます。

 一方で、私たちは感染対策の副作用として生じている地域社会への影響を、これから中長期的な視点で癒やしていかなければなりません。オンライン授業は急速に進みましたが、度重なる休業や行事の中止、長時間のマスク着用により、子どもたちの心身の成長が大きな影響を受けていることは否めません。地域の交流や通いの場が制約を受け続け、地域と本市が育んできた絆づくりも、多くが休止を余儀なくされました。

その陰で、閉じこもりがちとなった高齢者の健康状態悪化、子育て世代のますますの孤立などが全国的に社会問題となっています。地域有志が感染対策との両立を模索し、様々工夫くださっていますが、支え合う地域社会の再構築がコロナ後に向けた大きな課題です。

 地域経済への打撃は深刻です。奈良県は、第4波以降の感染拡大に対して、政府に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用を要請せず、独自施策を続けています。しかし、感染が抑えられてきたのは、県民が自衛のために行動を自粛し、飲食店をはじめとする事業者がそのしわ寄せを受け続けてきた結果に他なりません。

第5波時には、県内の消費活動は明らかに鈍化しました。昨年末まで感染が小康状態であった期間も、自粛がずるずる続き、観光業を含めて回復基調は都市部よりも弱い傾向が見られました。十分回復しない内に第6波に再び襲われ、1月上旬以降、多くの地元店舗は開店休業状態となり、深刻な影響を受けています。特に本市中心部は、帰参者の減少による影響に直撃されています。

国の施策を適用しない結果、政府が感染対策の影響緩和のために導入する様々な「処方箋」の恩恵から、県内事業者は結果的に除外されています。時短要請に対する協力金だけでなく、月次支援金の申請対象から外れたこと、雇用調整助成金の減額など多岐にわたります。

 天理市は昨年度以降、持続化補助金や時短協力金の上乗せ、家賃補助、つなぎ資金の貸し付け、地元消費喚起策「天理支え合い券」「プレミアム商品券」の実施など、新型コロナ対応の地方創生臨時交付金の活用により、少しでも市内事業者をお支えするための努力を行ってきました。しかし、あまりに大きすぎる影響に対して、投入できる財源には限りがあり、全く十分とは申し上げられません。率直に、申し訳ない思いでいっぱいです。

 昨年度の特別定額給付金や、今年度の子育て世帯への臨時特別給付金について、本市は現金での迅速な給付に努めました。9月以降に離婚された等の事情により、実際に子どもを育てているにも関わらず、10万円給付を受け取れない方に対して、政府に先駆けて市独自で給付を行うなども工夫しました。非課税世帯等臨時給付金につきましても、必要な方に1日でも早く給付金をお届けできるよう手続きを進めました。非課税世帯と事前に把握できている方への手続きは順調に進んでおり、すでに約7割の方に給付を終えています。政府の生活支援を、速やかに市民のお手元に届けるため、天理市は全力を尽くして参りました。

これらの給付金は、本市や奈良県の経済対策と比較して、事業規模で遙かに巨額に上ります。しかしながら、現金での給付は、地元以外または大規模店舗で消費される傾向が強く、コロナ禍の影響に苦しむ地元事業者にとって、なかなか恩恵につながりません。

高齢になっても地域で安心して暮らし続けるためには、地域に密着した商工業を守ることが非常に重要です。雇用なくして、世代間のバランスを保つこともできません。しかし、顔が見える関係で、会話を楽しみながら買い物をしていた時代から生活スタイルは大きく変化しています。今、改めて地域の店舗と市民の絆を紡ぐため、地元消費に新たな付加価値を提示することが必要だと考えています。

==天理市のこれから生きる道==

これらの課題は、天理市だけでなく全国の地方都市が直面している課題です。コロナ禍を契機に、大都市集中から一部では地方回帰の思考も見られ、地方創生は新たな段階に入ってくると見られます。世界の潮流を見れば、あらゆるビジネスチャンスが、持続可能な開発目標(SDGs)や脱炭素社会に向けた努力と合致することが求められてきます。2025年の大阪・関西万博では、我が国が世界に向けた未来社会のデザインを示していくことが期待されます。

いにしえからの暮らしの知恵と先端技術、自然との共生などにおいて、地方が果たすべき役割は大きいと考えます。

今、行動を起こす財政的、人的余力がないと諦めてしまえば、行財政改革によって一時的な小康状態を保つことが仮にできたとしても、人口減少や少子高齢化などによって必ず悪循環に陥るでしょう。これまで天理市で育まれてきた地域の力を見つめ直し、新たな可能性を拓いていく時です。そこで、今議会に上程した令和3年度補正予算と令和4年度予算を合わせて、「みんなの学校プロジェクト」と、デジタル地域通貨の導入を提案します。

天理市が抱える財政上の課題は、高止まりが続く経常収支比率が示すとおり、硬直化した財政構造です。類似団体と比較して教育・福祉関係施設の数が多く、人件費と維持管理経費により、必然的に高コスト体質となっています。しかし、子ども達が歩いて通える範囲に、多世代が学び、交流できる拠点があることは、支え合う地域社会を再構築する上で、かけがえのない財産であるとも言えます。

最大の留保条件は、将来にわたって、維持管理していけるかどうかです。9小学校区に1または2つある公民館を、令和10年代に全て継続することは率直に不可能でしょう。修繕に毎年かかる費用は、それぞれ数百、数千万円に及んでおり、老朽化した施設を今後建て替えるためには億単位の資金が必要です。しかし、例えば1千万円を投じて雨漏りを修理したとしても、直ちに市民の利便性が向上し、活動が活発になるわけではありません。物理的な施設の維持にこだわるよりも、教育や交流の中身の充実にシフトする時です。

櫟本校区では、地元有志の力によって、学校と公民館の枠を超えた先駆的なプロジェクトが進んできました。子ども達が、学校行事や地域への貢献によって得たポイントで、地域が運営する学習の場に通う「町カ塾」、子どもたちが将来の夢を描く力を地域が育む「夢応援プロジェクト」などを通じて、学校そのものが地域の絆づくりと支え合いの場に変化しています。通学路の安全ボランティアが、そのまま学校まで同行し、校内で子ども達も含めて交流する地域カフェも生まれました。

この櫟本での経験をさらに進化させ、天理市の全ての校区に広げます。行政と教育委員会が一体となり、学校と生涯教育の融合を図り、学校を地域社会全体の学びと支え合いの拠点へと進化させます。一朝一夕に実現できることではなく、今はまだ感染対策を優先せざるをえません。しかし、市民と地域社会が、コロナ後に向けて心身の健やかさを取り戻していくための道筋がここにあります。

公民館活動については、音楽室や、家庭科室、図工室、体育館などを地域全体で活用すれば、全て学校内で行うことが可能です。子どもたちの学習過程と切り分けて考えてしまえば、互いの使用に不便が生じる恐れがありますが、子ども達が地域の皆さんと共に学ぶことには大きな意義があります。核家族化や、隣近所との付き合いが希薄化する中で、子どもたちが親以外の大人と接する機会が少なくなり、コミュニケーション能力の育成にも影響しています。様々な経験や技能、経歴を持つ地域の皆さんと共に学ぶことは、天理で学ぶ子どもたちにとって得がたい成長の機会となります。

また、子ども達と共に取組むことは、高齢者を含め地域の皆さまにとっても、大きなやりがいの創出につながります。櫟本校区だけでなく、南檜垣営農組合や長滝町など、子ども達との交流を、地域活動の軸とされているエリアは、地元行事や互いの支え合いにも活気が見られます。超高齢化社会において、医療介護の持続可能な運営のためには、健康寿命の延伸が不可欠です。感染対策のため制約を受け続けてきた交流事業、地域の絆づくりを、コロナ後に回復していくに当たり、学校をその中心に据えていきます。

「みんなの学校プロジェクト」を進める上で、乗り越える必要があるハードルは、安全安心の確保と教員の負担軽減です。

大阪教育大学附属池田小学校で多くの児童が殺傷された痛ましい事件の後、全国的に、学校を周囲から切り離し閉鎖することで安全が図られてきました。しかし近年は、中学生が学校内で同級生を刺殺する事件が起きるなど、隔離するだけでは子ども達を守りきれず、限界が見られます。また、「拡大自殺」と形容される無差別的な加害行為に対して、学校の門や扉を閉めるだけではほぼ無力です。極限まで孤立を深めてしまう人を、社会全体として生み出さない努力、誰も取り残さない努力を尽くし、支え合う地域社会を再構築する必要があります。

校内に出入りする方の身元確認を行うことは当然です。加えて、地域の多くの目が、学校内外で見守る地域を作ることは、子どもたちの安全向上、孤立や非行の防止にもつながると考えます。

教員の働き方は、コロナ対策として急速に進んだGIGAスクールなど、大きな変革期にあります。本市では、校務支援システムの導入や給食費の公会計化など、教員が子ども達に向き合える環境づくりに取り組んできました。他方で、子どもの学力向上は、授業時間だけで考えるのではなく、放課後や家庭での過ごし方を含めて、トータルで捉えることが不可欠です。

また、多様化する子育て家庭の要望や課題に、教員だけが向き合うことにも限界があります。地域の絆の中心に学校を位置づけていく課程で、地域の力をお借りしながら、教員が心身にゆとりをもって子どもたちに向かい合える環境を整えていくことは、本来コミュニティスクールが目指していた方向性です。「みんなの学校プロジェクト」は、教員の働き方改革の一環という視点も大切にしながら進めていきます。

学校を拠点とした様々な地域活動、支え合い事業を後押しするプラットフォームとして、令和4年度に天理市はデジタル地域通貨を全面的に導入します。導入の流れは、以下の三段階を予定しています。

 

  • 第一段階では、コロナ禍の影響を受ける地元店舗を消費喚起によってサポートするため、全市民に対して一人当たり定額のポイントを配布します。
  • 第二段階では、健康増進や、ゴミの減量化などの市民生活向上と将来の市負担軽減にも貢献する事業、櫟本の夢応援プロジェクト等の地域活動に対して、市民の積極的な参加を促すインセンティブとして、市から地域ポイントを付与します。
  • 第三段階では、市内店舗の参加を募り、地域ポイントによる売り上げの一部を子ども食堂など地域の福祉、支え合い活動に還元する仕組みを作ります。

 地元消費喚起については、本市は昨年度に「天理支え合い券」や「プレミアム商品券」事業を実施しました。しかし、事業を行う毎に参加店舗を募り、市民への配布や販売を行い、事後の精算を行う等の作業が発生します。事務経費については、子育て世代への給付金を巡って全国的に問題視されましたが、これまでは地元消費に確実につなげる手法として、多くの自治体で実施されてきました。

 しかし、一過性の対策では、継続的に地元消費を後押しすることはできません。そこで、天理市ではスマホアプリを活用したデジタル地域通貨を今回導入し、中長期的に活用できる体制を作ります。今後、政府の新たな経済対策などが実施される場合、すでに市内で構築された体制を使って、何度でも迅速に対応することが可能です。

 もちろん、これだけではデジタルが苦手な方をはじめ、紙のクーポンの方が使い勝手が良いというご意見を払拭できないかもしれません。QRコードを印刷したカードも併用することで、スマートフォンを使えない方も取り残さない工夫を行います。加えて、天理市が目指すのは、第二段階と第三段階によって、市内の「支え合い」を確実に地元消費につなげ、また地元消費を「支え合い」につなげる循環を作り出すことです。

 これまで政策的に誘導したい取組みに対して、現金やQUOカード等をお出ししてきましたが、地元消費に必ずしもつながりません。また地域活動においても、それぞれに有志から資金を集め、ポイントを発行されています。こうした取組みを一元的にまとめ、確実に地元消費に結びつけます。参加者も、ご自身がどの活動に何回参加し、合計いくら分のポイントを獲得したかが分かるようになり、参加意欲の向上が期待できます。また、ポイントを運用するアプリはホームページやSNSと連動させることを予定しており、ポイント対象事業についてより多くの方に発信し、相互のコミュニティを広げることも可能です。

 今回のデジタル地域通貨は、「ICTを活用したまちづくりに関する連携協定」を締結しているNTT西日本をパートナーとして準備を進め、同社が愛媛県西条市で既に導入しているシステムを応用しています。政府は、「地方からデジタルの実装を進め、変革を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながる『デジタル田園都市国家構想』の実現を重点施策として進めており、天理市のデジタル地域通貨導入も、同構想の推進交付金の活用を予定しています。天理市が加えた新たな機能も、他の地方都市で活用可能な仕様としています。

 本市が目指すのは、地元消費に市民が共感できる新たな付加価値を生み出すことです。生駒駅前に、毎日子どもたちで賑わう新たなタイプの子ども食堂があります。子どもは、100円を店内で使える通貨に変え、カレーを食べることができます。幸運であれば2枚通貨を得て、駄菓子を買うこともできます。運営を支えるのは、お客さん達です。大人は普通に支払ってカレー等を食べることができ、夜には飲酒もできます。その売り上げの一部が、子ども食堂の運営に活かされることに共感した人たちが集っています。

 商工会や地元金融機関のご協力を得て、この生駒の取組みを、天理市の商店中に広げたいと考えています。コロナ禍で多くの家庭が社会的経済的な困難に遭い、孤立を深めている中、地元での消費を通じて、様々な支え合い活動に貢献することを可能にします。地元のお店に行くこと自体が、自分の町を良くする仕組みになります。各店舗での取組みや、支援を受ける活動をオンライン上でつなぎ、共感と消費がともに喚起されることを図ります。

 デジタル地域通貨は、「みんなの学校プロジェクト」を含めて、市内の幅広い活動のプラットフォームでもあります。持続可能な脱炭素社会に向けて、ゴミの減量化・資源化は最重要課題の一つです。NTTと連携し、給食の残渣や食べ残しを堆肥化する機械を全小学校に設置し、資源ゴミのステーションを設けます。地域の人達の参加も促し、ゴミの減量化や資源化を、コミュニティを結ぶ活動の一つにします。参加に応じて地域ポイントを付与すれば、それが地元消費に還元されます。

山辺・県北西部広域環境衛生組合が進める新クリーンセンター事業も、令和4年度にいよいよ建設に着手します。このタイミングで、地域を挙げてゴミの削減に取り組むことは、未来の財政負担を軽減することにもつながります。

 小学校区を核に、地域社会が育まれてきたのが天理市の特徴です。学校や地元の店舗を各地でハブとしながら、デジタルを手段に、オール天理で支え合いと地元消費の好循環を創出します。そして、公民館機能を学校に徐々に集約し、地域社会の再構築を力強く進めつつ、より大胆にファシリティ-・マネジメントを推進し、硬直的な財政構造の改善を目指します。これがコロナ禍の影響を少しでも癒やし、コロナ後の社会も見据えて、天理市が来年度から始動する新たなチャレンジです。行政だけが旗を振る形になれば、成功はおぼつきません。市民・地域の主体的な参画が得られますよう、市議会の御協力をどうぞよろしくお願い致します。

==令和4年度予算の骨子==

 では、改めて令和4年度予算の骨子をご説明します。コロナ前から、本市は「第6次総合計画」の将来像として、多様な連携で共に支え合うまちを掲げてきました。本市の持つあらゆる資源の豊かさを大切にしながら、地域の絆を育み、誰もが生き生きと活躍し、安心して豊かに暮らし続けられる、共生都市を目指そうというものです。

コロナ対策においても、またコロナ後に向けても「共に支え合うまち」づくりが益々重要と考えて取組を進めています。令和4年度予算においては、命と暮らしを守り社会変化に対応するまちづくりを推進するため、5つの重点項目を設定しました。

1つ目が、誰もが地域で安心して健やかに暮らせる「福祉」の充実

2つ目が、地域と共に、一人ひとりの豊かな未来を育む「教育」の充実

3つ目が、市民の命と暮らしを守る「安全・安心」のまちづくりの実現

4つ目が、活力ある地域社会に向けた「地方創生」の推進

5つ目が、ポストコロナを見据えた持続可能な「行政サービス」の実現

詳細は、後ほどご説明します。

◆予算の全体像(フレーム)

 このような認識の下、議案第5号、令和4年度天理市一般会計予算(案)についてご説明申し上げます。一般会計の予算額は、歳入歳出とも256億7千万円、前年度比で16億5千万円、6.0%の減少となりました。

◆歳入

 まず、歳入からご説明いたします。

 市税のうち、個人市民税は、国の基調判断及び令和3年度の決算見込み額を踏まえ、増額を見込んでいます。固定資産税についても、家屋及び償却資産の増加による増額を見込んでいます。市税総額は、74億3,800万円となり、前年度比3億2,500万円、4.6%の増収となる見込みです。

 寄附金は、一般寄付が1億円減の2億円、ふるさと天理応援寄附金が5百万円減の1億1千万で、寄付金総額は3億12百万円となり、前年度比1億3百万円、24.9%の減収となる見込みです。

 地方消費税交付金は、景気の持ち直しの動きがみられる旨の基調判断により、前年度比1億3,100万円、9.9%の増収の14億4,900万円となる見込みです。

 地方交付税は、61億2,200万円となり、前年度比3億4,600万円、6.0%の増収となる見込みですが、臨時財政対策債が前年度比8億円、71.9%減の3億1,200万円となり、実質の地方交付税は、前年度比4億5,400万円減少することになります。

国庫支出金については、南北中学校及び幼保再編に伴う建設事業等の終了により減少となる一方で、コロナ関連予算等を計上したことによる増加があり、前年度比3億3,500万円、8.1%の増の44億6,300万円となる見込みです。

市債は、同じく南北中学校及び幼保再編に伴う建設事業等の終了及び臨時財政対策債の減少により前年度比32億5,200万円、80.4%減の7億9,400万円となる見込みです。

道路等の整備や学校関連施設などの公共工事については、引き続き市民の命と安全・安心を確保するために先送りすることなく取り組むことが必要なものを精査し、国の経済対策等を踏まえ、国庫補助金の活用や償還時に地方交付税措置等のある有利な起債の利用に努めています。

令和4年度末の一般会計における市債残高は、231億500万円となり、過去に借り入れた市債の償還元金を差し引きすると、前年度に比べて17億3,000万円減少する見込みです。

令和3年度の市債元利償還金は、臨時財政対策債を含め約26億9,000万円となっていますが、このうち約48%は普通地方交付税の基準財政需要額として算定されています。

基金からの取り崩し額は、減債基金が前年度と同額の1億5,000万円、財政調整基金の取り崩し額は、前年度に比べて5,000万円減の6億3,000万円で、令和3年度の決算時には、例年通り6億円以上の積み増しがあるものと想定され、基金残高は引き続き11億円規模を維持できると見込んでいます。

◆歳出

 次に、歳出について申し上げます。

 目的別の歳出といたしまして、歳出全体の45%を占める民生費は、115億4,900万円で、前年度比6億5,000万円、6.0%の増加となっています。扶助費等の増加に加え、民間介護施設及び民間保育施設整備に伴う補助金などにより増加しますが、国県の補助等があり、一般財源は抑えられています。

 衛生費は24億1,800万円で、継続実施する新型コロナウイルスワクチン接種関連経費に加え、ごみ焼却施設やし尿処理施設等の修繕に係る費用の増加、新クリーンセンター建設に伴う山辺・県北西部広域環境衛生組合分担金の増加などにより、前年度比6億4,700万円、36.5%の増となりました。

土木費は20億9,800万円で、道路修繕工事及び土地区画整理事業繰出金、下水道事業会計繰出金の減少等により、前年度比2億1,800万円、9.4%の減となりました。

教育費は22億800万円で、南北中学校の建設事業及び前栽幼稚園のこども園化整備事業の大幅減により、前年度比27億2,100万円、55.2%の減となりました。

 以上が歳入歳出予算の全体像でございます。

 予算規模は、前年度と比較しまして16億5,000万円減少し、256億7,000万円となりました。南北中学校及び保育所関連施設の建設事業等が減少したものの、扶助費等年々増加の一途をたどる社会保障経費は増加しています。また、国の交付金等を活用したコロナ対策に取り組んでいく予算は計上しておりますが、全体としては緊縮型の予算編成となっています。

◆重点施策、主な事業

続いて、重点項目ごとに主な事業をご説明します。

=誰もが地域で安心して健やかに暮らせる福祉」の充実

第一は、誰もが地域で安心して健やかに暮らせる「福祉」の充実です。

認知症予防施策の分野では、「活脳教室」の更なる普及に努めます。令和元年度及び2年度の実績で、参加者のうち9割を超える方の認知機能が維持・改善されました。教室修了後も継続して活脳に取り組む「活脳クラブ」9箇所が立ち上がり、100名を超える方が参加下さっています。

また、認知症初期集中支援や認知症サポーターを中心としたチームオレンジによる支援等の基盤事業を行いながら、先端技術を活かした予防法やケアの普及にも努めます。令和4年度は、認知症患者の尊厳を大切にし、介護者の負担も軽減するフランス発祥のケア手法「ユマニチュード」の講演会等も開催します。

 また、NTT西日本との連携事業として、令和2年度より睡眠データを可視化し、睡眠改善への意識や健康意識の醸成、睡眠改善による精神的心理的健康、うつ傾向などの改善につなげる実証を行っています。中間評価では、参加者の約7割の方に睡眠改善の効果がみられています。

コロナ禍で高齢者の外出自粛により「コロナフレイル」と呼ばれる新たな問題が生じています。令和4年度には成果連動型事業として睡眠改善への介入を行い、精神的心理的フレイルリスクの低下を成果指標に設定し、新たな介護予防事業モデルの組成に取り組みます。

 また介護予防リーダーのご尽力により、感染対策と両立しながら、転倒予防、嚥下障害の予防、認知症予防の内容を組み込んだ市オリジナルの「STEP体操」を継続してきました。令和3年度からは、南団体待合所での開催回数をこれまでの隔週から毎週1回実施に拡充し、各公民館での体操も充実しています。令和4年度は、生活支援コーディネーターや地域包括支援センターと連携を図り、「通いの場」でSTEP体操の出前講座を実施します。「通いの場」は現在市内43箇所に広がっており、今後は「みんなの学校プロジェクト」とも関連づけて一層の発展を目指します。

活脳教室、睡眠改善やSTEP体操などに取り組むに当たって、身体だけでなく精神面・社会面も含めた健康、「ウェルビーイング」に着目して取り組むことが重要です。将来の医療介護費削減効果も期待できる事業について、デジタル地域通貨事業とも連動させることで、市民の自己の活動の可視化や、やる気の創出にも努めます。令和4年度は、生活支援コーディネーターも新たに2地域包括支援センター圏域に配置予定です。同コーディネーターと協働する有償ボランティアに対しても、デジタル地域通貨を活用していきます。

令和5年度には残る2地域包括支援センター圏域にも配置し、より地域に密着した支え合い活動となるよう事業を展開してまいります。

令和3年度は、高齢者、障がい者、子ども子育て支援、健康づくりなど個別計画を内包する総合的な「地域福祉計画」「地域福祉活動計画」を策定しました。今後、地域福祉に関わる福祉・医療・保健関係者等が分野横断的に検証し、支え合い活動の推進・支援のあり方や包括的な相談支援体制の方向性を議論する場として「(仮称)総合福祉会議」の設置を目指します。また、専門部会として、「高齢者部会」を設置するとともに、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムなどの体制構築に向けて進めて参ります。

健康や、介護・認知症に関する相談業務では、メディカルセンター「地域包括ケア広場」も活用した「まちかど相談室」、健康データに基づく生活習慣改善のアドバイスを行う「健康ステーション」等を引き続き継続してまいります。

メディカルセンターを中心とした医療と介護との連携では、旧市立病院の跡地に社会医療法人高清会が「天理メディカルイースト」をオープンしました。同施設では、診療所、人工透析室等の医療施設の他にサービス付き高齢者住宅を整備されており、将来的には保育施設の併設も計画されています。高齢者福祉と児童福祉が融合し、市立メディカルセンターとの一体的な運用が目指されており、市としても連携協力していきます。

コロナ対策以外の健康推進事業としては、子宮頸がんワクチンの接種事業を進めます。同ワクチンは、令和3年11月に積極的勧奨の差し控えが廃止となり、令和4年4月から対象者へ個人通知を行います。また、勧奨を差し控えていた期間中の対象者に対しても個人通知を行い、接種勧奨に努めて参ります。

 支え合い事業では、食事を通じた多世代の居場所づくり「食堂」が、コロナ禍の影響により縮小や中止を余儀なくされてきました。しかし、丹波市校区や柳本校区、有志による「あつあつごはんを食べる会」は配食形式で再開くださり、市としても各地での再開を支援して参ります。ひとり親家庭への「おすそわけ」を行う「おてらおやつクラブ」との連携事業では、市内農家からの調達、市内での外食機会の提供など地元消費喚起にも工夫しています。令和4年度は、首都圏を対象にした「ガバメントクラウドファンディング」の広報強化等を行います。

 買い物支援では、ならコープと連携した移動販売が、コロナ禍の中、高齢者等が人混みを避けて自宅近くで買い物ができ、大きなメリットとなっています。令和3年度セブンーイレブン・ジャパンとも連携協定を締結し、希望があった約40自治会との間で、設置場所や運行ルートの検討を行っています。先ず5自治会で2月下旬から3月上旬の期間で試験運行を行います。

=地域と共に、一人ひとりの豊かな未来を育む「教育」の充実これからの教育方針・教育環境の整備=

重点項目の第二は、地域と共に、一人ひとりの豊かな未来を育む「教育」の充実です。

先ず、主体的・対話的な深い学びを目指して、児童生徒に「読む力」、「書く力」、「思考力」を育む授業づくりを推進します。また、自己肯定感を高めるための取組を重視し、児童生徒の良さを教師と保護者が共有することに努めます。令和3年度は新型コロナの影響により、「職場体験活動」等さまざまな体験的な活動が中止されました。令和4年度は、できる限り感染対策を工夫しながら、一人ひとりの役割を大切にした体験活動を実施します。

コロナ禍によって急速に進んだGIGAスクール構想の下、天理市では令和2年度に子どもたち1人1台の情報端末が使用できる学習環境を整備しました。しかし、機器の配布は手段であって目的ではなく、「主体的・対話的でより深い学び」を実現することが大切です。

全校で導入した授業支援アプリ「ロイロノート」では、教員・生徒間で互いの考えを可視化して共有することができます。文字入力の困難な小学校低学年での活用から、高学年や中学校における思考・判断・表現力を深める学習まで、自らの考えを主体的に表現し、互いの考えを対話させる学び実践しています。

こうした取組の積み重ねによって、第6波による感染急拡大により、各校で登校停止を行う中であっても、天理市では全学年全学級でオンライン授業により学習を継続しています。

また、オンラインは、不登校の児童生徒にとっても、学校とつながりを回復する窓口となっています。学校と家庭をつなぎ、画面を通じて担任との面談も実施しています。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを交えつつ、ボランティア学生による「ゆうフレンド派遣事業」等とも組み合わせて、不登校の児童生徒を孤立させず、学校とのつながりを紡ぎ直していけるよう努めます。

これらの取組についても、「みんなの学校プロジェクト」の一環として、地域との連携をこれまでとは次元の異なる深さと濃度で目指します。

中学校の建設事業では、南中学校の改築改修工事は令和3年度に完成しました。北中学校は、北校舎を建て替え、南校舎は改修工事を行い、令和4年8月末完成を予定しています。なお、北中学校では仮設校舎を活用していることから、本市の耐震改修率は令和2年度時点で100%となっています。この他、令和4年度は、朝和小学校の屋内運動場器具庫屋根防水改修工事、柳本小学校昇降口の屋根防水改修工事、北中学校柔剣道場ミーティングルームの屋根防水改修工事を予定しています。

 幼保の壁を越えた一体的な子育て支援では、令和4年度から前栽幼稚園が「前栽こども園」に、丹波市幼稚園と南保育所が「丹波市南こども園」として新たにスタートします。これによって、公立の保育枠は約60名分増加します。また、令和5年4月には、株式会社ニチイ学館が民間認可保育所を開設予定であり、老朽化した朝和保育園の建替えと合わせて、補助を実施します。

令和5年度には、令和3年度末と比較して計130名の保育枠を追加でき、やまだこども園を除き、盆地部であれば何れかの保育所、保育園、こども園には預かり枠があると言う意味で、待機児童の解消を実現する見込みです。

 多様化する子ども達、子育て世代のニーズに対応するためには、公立の保育枠を維持することも重要だと考えています。老朽化している北保育所は、工事中の園児、職員及び保護者の負担を考慮し、現地での建て替えではなく、櫟本市営住宅東側のグランド用地に移転します。令和4年度には、基本設計の一部見直しと実施設計、用地の測量を行います。令和5年度から工事に着手し、令和6年中頃の新園舎開所を予定しています。

 

施設整備に加えて、保育士や幼稚園教諭の働き方改革を実施し、子ども達に向き合う心身と時間的余裕を生むことも重要です。令和3年度に、保育所・こども園に導入したICT機器を、令和4年度から本格稼働させ、よりきめ細かな保育や保護者との連絡調整を可能にします。計画や検証報告書の作成などの事務作業についても、継続的に合理化を図ります。また、国の経済対策に伴い、保育の最前線で働く、保育士・幼稚園教諭、放課後支援員等の処遇改善として、令和4年2月からフルタイム会計年度任用職員の給料を3%程度引き上げます。併せて、保育士職と幼稚園教諭職の給与体系の一体化により、保育所、幼稚園及びこども園の各現場の垣根を越えた、より流動的で適材適所な人員配置を実現します。

市役所の体制としても、令和4年度の機構改革により、「就学前教育の一元化」として、児童福祉課を「こども支援課」と「こども未来課」に再編し、子ども子育て行政のより実情に応じた円滑な運営を進めます。今後も引き続き就学前教育の一元化に向けて検討してまいります。

 就学後の働く子育て家庭支援では、学童保育所のニーズが全国的に高まっています。天理市では、平成27年度から学校校舎や敷地を積極活用することで、整備費用を以前の約5分の1に合理化しながら受け皿の拡大を進めてきました。令和3年度には16学童保育所、児童数795人となり、平成16年度の事業発足当初の約2倍の規模になりました。 令和4年度は、山の辺小学校の教室を改めて学童保育で活用する予定です。

 学校と学童保育所を合わせたことは、コロナ対策の上でも非常に大きな効果を発揮しています。密を作らないため、校舎全体を活用するだけでなく、登校停止中の預かりや長期休暇中の対応などで、教職員と学童指導員の連携の機会が増えました。意思疎通と協力が深まったことは、一日を通した子どもの育みの上で非常に重要であると考えており、コロナ後に向けても更に発展させていきます。

 コロナ禍の中、幼児を育てる家庭が社会から孤立し、負担を抱え込んでしまうことが懸念されます。天理市では、妊娠期からの切れ目のない支援を行うため、「天理市子育て世代すこやか支援センターはぐ~る」において、保健師・助産師・保育士による相談や、相談時の託児サービスなどを実施してきました。外出が難しいご家庭に支援が届くよう、電話やメールでの相談、動画配信やAIチャットボットでの24時間対応も行っています。

また、産後のショートステイ、デイサービス事業を進めており、令和3年度は1月時点で前年の2倍以上のご利用がありました。妊娠期から産後の支援に当たるドゥーラの認知度も上昇し、リピーターも増えてきています。令和4年度はこれまでのサロンや訪問に加え、育児負担のより大きい多胎妊産婦に対して無料で訪問を行い、充実を図っていく予定です。  

=市民の命と暮らしを守る「安全・安心」のまちづくりの実現=

重点項目の第三は、市民の命と暮らしを守る「安全・安心」のまちづくりの実現です。

天理市は、「奈良県国土強靭化地域計画」とも整合性を取り、令和元年度に「天理市国土強靱化地域計画」を策定しました。自然災害等の影響をできるだけ回避するため、道路網の整備や橋梁の長寿命化、地域の防災リーダーである防災士の育成や連携強化など、ハード面・ソフト面の双方で施策を計画的に推進して参ります。ハード整備や老朽化対策については、政府の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を積極的に活用します。

災害時の避難所運営では、感染対策との両立が引き続き不可欠です。豪雨災害時には、密集を避けるため、公民館に加えて小学校を開設する等、できるだけ多数の避難所開設に努めています。また、濃厚接触者や体調不良の方々の専用避難所を設ける体制を整えています。

また、大塚製薬と「包括連携協定」を締結する等、大規模災害時における物資提供等の協力を含め、中長期的な避難所運営が迫られた事態を想定して備えを進めています。

「災害弱者」と呼ばれる一人暮らしの高齢者や障害者の方々、介護認定を受けておられる方に対しては、避難行動要支援者対策に取り組んでいます。令和3年度時点では、回収率72.6%、3,484名の名簿と個人プランを、各区長や自主防災組織の会長などに保管していただいています。今後も名簿アップデートに努め、市防災訓練の場において避難行動要支援者名簿を使っての安否確認訓練を取り入れるなど、行政と地域が一体となった防災体制を整えて参ります。

特に、医療的ケアが必要となる重度の障害がある方々につきまして、非常時に電源の確保が可能となる市役所内に避難所を設け、天理地区医師会と連携しながら医療体制を整えます。

地域防災力の中核としてご活躍いただいているのは、天理市消防団です。令和3年度も丹波市町や勾田町での民家火災において消防署が駆け付ける前に消火活動に取り掛かられ、風水害の警報発生時にも、市内パトロールや河川越水を防ぐための土嚢つみ等に貢献頂きました。これまで、装備品を貸与する安全装備品整備事業を進めてきたところ、令和3年度消防庁より「消防団員の報酬等の基準の策定等」が示されました。本市としても、基準を踏まえ、出動時間に応じた手当を支給することで、消防団員の業務の負荷に応じた支給体制を図っていきます。

「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」の施行をうけ、防災重点ため池103ヶ所のため池マップ、ため池ハザードマップの公表を終えました。また、防災重点ため池のうち、国が管理するため池を除いた98箇所を防災重点農業用ため池として県指定を受けました。今後は、新たな住宅建設など状況の変化に合わせた見直しを行います。昨年までの調査事業に加えて劣化状況評価等を行い、今後防災対策の必要性を判断して参ります。

 橋梁についても、令和元年度に点検結果を踏まえた長寿命化修繕計画を策定し、順次、修繕工事を進めています。令和4年度は12橋の改修を行います。

 治水対策では、浸水常襲地として長年の懸案である二階堂上ツ道・三の坪周辺に対し、菰池の治水活用と二階堂小学校雨水貯留槽設置による軽減策を、二階堂校区浸水対策プロジェクト会議や天理市議会水害対策委員会とご一緒に進めてきました。令和2年度には二階堂小学校雨水貯留槽の供用を開始しました。菰池の治水活用では県市連携で地元協議・下流域との調整を行い、現在、奈良土木事務所が池の構造調査や健全性の確認の作業を進めています。調査完了後、整備に向けた設計を進め早期の工事着手を目指します。

 また、「奈良県平成緊急内水対策事業」において、令和3年度に庵治池が適地として新規事業個所に選定されました。庵治池は、地元からも治水活用の提案を受けていました。県市が連携する中、寺川の水位上昇に伴う対策と庵治地区の内水による対策とを分け、天理市が庵治池の治水整備を行います。令和3年12月に、大和川が特定都市河川に指定され大和川流域の貯留浸透事業が今後加速化する見通しです。令和4年度に利水関係者との協議と同時に、測量設計業務を行い、早期の着工に向けて進めて参ります。

防犯対策では、駅前や小中学校付近を中心に街頭防犯カメラを45台設置・運用しています。また、自治会等による自主的なカメラ設置に対する補助事業を令和4年度も推進します。防犯灯LED化事業では、市内全域で約7,000灯に及ぶLED防犯灯を維持管理しており、新たな設置要望に応えて、令和3年度には、31自治会から計68灯の申請を受け、設置を完了しました。令和4年度も新設募集を行います。他、特殊詐欺被害防止対策として、防犯電話購入費補助事業も継続します。

=活力ある地域社会に向けた「地方創生」の推進=

重点項目の第四は、活力ある地域社会に向けた「地方創生」の推進です。

地元消費の喚起と、支え合いのまちづくりに循環を生み出すデジタル地域通貨については、冒頭でご説明しました。

天理市のまちづくり計画の中で、名阪国道や京奈和自動車道とのアクセス向上が重要なポイントです。京奈和自動車道の未開通部分である大和北道路と大和御所道路の早期開通については、奈良県国道連絡会への参加等を通じて、県内市町村と連携して政府への要望活動に取り組んでいます。郡山ジャンクションから市内中心部へのアクセスは、名阪側道の開通により飛躍的に向上しました。天理東インターにつながる都市計画道路別所丹波市線は、工事費用と工期の合理化を図り、地元のご理解を得て、早期完了を目指し事業を進めています。令和4年度は、道路築造により埋設される既設水路の改築整備等を進める予定です。奈良県が実施する九条バイパスの整備は、用地取得が進められており、令和4年度には発掘調査終了次第、一部で着工されることを見込んでいます。

広域的な交通ネットワークの改善が具体化する中で、沿線では工場施設、商業施設等の土地利用に活発化の兆しも見られます。天理市企業立地支援制度の活用事例としても、令和2年度に製造業1社と食品小売業1社、令和3年度には製造業1社の誘致が実現しました。特に宿泊施設では、奈良県が3月に開設予定の歴史芸術文化村に隣接して、「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」が開業されます。また、天理駅前でも西一駐車場に東横INホテルが令和5年度の開業を目指して建設工事を開始しました。引き続き企業誘致と地元雇用の創出に努めます。

既存の民間施設を活かした新規産業の創出では、シャープ株式会社と連携するインキュベーション事業を今後も推進します。これまでに入所した企業が、市内農家に対してドローンを活用したスマート農業の普及を支援する等の展開もありました。また令和3年度には、シャープ社内でも、天理の開発拠点に小型半導体の関連子会社が転入されました。

コロナ禍を契機に、企業の地方回帰の流れも見られる中、デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、天理市産業振興館にサテライトオフィスとコワーキングスペース機能を追加し、都市部からの移転促進に努めます。産業振興館は、コロナ禍の中で学生のオンライン就活支援も実施しており、天理大学と連携して取り組みを強化していきます。

また、天理大学と合同で、柔道などスポーツをコンテンツにしたツーリズムやワーケーションの開発にも取り組む考えです。令和4年度は、コロナ後の観光振興やインバウンドの再開も見据えて、天理市と天理大学、JTBによる「天理市スポーツツーリズム推進協議会」を設立する予定です。

これらの進展も踏まえながら、本市のまちづくりの基礎となる第3次都市計画マスタープランの策定を進めています。令和3年度より、「地域別まちづくり懇談会」、「市民会議」を通じて広く市民からのご意見も募っており、令和4年度は本市都市計画審議会及びパブリックコメントを経て成案を完成させる予定です。

農業の振興では、令和3年度も刀根早生柿の沖縄県での販売が好調に推移しました。柿の出荷を縁に、令和元年度より萱生町は首里城再建の寄付金などにも取り組まれ、絆が深まっています。政府は、令和4年度より新規就農者育成総合対策を開始し、機械や施設等の初期投資の負担軽減も含めて取り組む方針を示しています。市内での同制度の積極活用を推進し、集落営農の普及促進や、ビジョン策定にも支援を行います。また、イチゴやカキなどの特産品を「天理ブランド」として認定し、コフフンマルシェ等に加えて、なら歴史芸術文化村に設置予定の道の駅などへの販路開拓を、市としても応援していきます。

鳥獣害対策では、猟友会会員による一斉捕獲や、防護柵・箱わなの設置・管理に対する継続的な補助に加えて、平成30年度より遠隔監視操作システムを搭載した囲いわなを設置する「スマート捕獲」を運用しています。令和4年度は、猟友会員の協力を得て、位置情報を活用した捕獲の効率化も図る予定です。また、狩猟免許の新規取得にかかる試験手数料や講習料の経費を引き続き補助し、防除や捕獲を担う人材の確保に努めます。

鳥獣害対策に加えて、土砂災害等を防止するためにも、山や森林の適切な管理が重要です。森林環境譲与税を原資に、植林、下刈、保育間伐の各作業種に対して補助を継続します。令和4年度は、植林約0.5ha、保育間伐3.5ha、間伐に伴う林業作業道の作設延長250mを予定しています。

市内のスポーツ活動は、コロナ禍の中さまざまな行動制限を受けてきました。そうした中、本市のスポーツ政策特別顧問を務める大野将平選手が、東京2020オリンピックで見事に連覇を果たされました。天理市民に限りない勇気を与えて下さったご功績に対し、天理市特別表彰を授与しました。天理郵便局前には、金メダル受賞を称えるゴールドポストも設置されました。また、昨年度は中止となった奈良マラソンは、十分な感染対策を講じた上で2年ぶりに再開され、多くの天理市民がボランティアとして貢献くださいました。

2031年には、第85回国民スポーツ大会・第30回全国障がい者スポーツ大会の奈良県開催が予定されており、スポーツのまち天理が果たす役割は大きいと考えています。

今後の感染状況をみながら、天理ゆかりのトップアスリートによる地域貢献事業の再開を図ります。令和4年度はプロバスケットボールチーム「バンビシャス奈良」のパートナーであるロート製薬から寄附を受け、同チームによるバスケットボールクリニックも予定しています。また、施設の老朽化対策として、長柄運動公園の庭球場芝張替えを計画しています。

同じくコロナ禍の影響を受ける芸術文化活動については、令和4年度も文化芸術団体活動支援補助金を計上し、継続した支援を行います。各団体は感染対策を工夫しながら天理の文化芸術の灯を守って下さっています。

特にワールドフェスティバルや、「奈良・町家の芸術祭 はならぁと」などは地元商店街や大学、留学生と連携しながら、リアルとデジタルを組み合わせた形で開催され、コロナ後にもつながる先進的な事業になりました。

令和4年度は、本市文化財課が「なら歴史芸術文化村」に常駐し、これまで、一般の方は普段目にすることがなかった遺物の修復作業の一部の様子を見ながら、体験できる事業にも取り組みます。

芸術文化による新たな取組みでは、「なら国際映画祭」や県内市町村との連携事業を進めています。本市は、平成30年に長滝町を舞台にした映画「二階堂家物語」を製作しました。海外映画監督による県内映画製作プロジェクト「NARAtive」の一環です。他に誘致実績のある奈良市、橿原市等の7市村と「NARAtive撮影地ネットワーク協議会」を設立しました。映画撮影をはじめとする文化芸術活動が、地域の人と人をつなぎ、郷土愛の育成や関係人口の増加、観光振興など様々な効果をもたらしていることを共同で発信し、市村連携で新たな地域振興を模索していきます。

二階堂家物語の舞台となった高原地域では、映画撮影によって生まれた地元と関係人口の交流を、移住定住促進につなげてきました。地元出身者と移住者の有志が集まり、空き家のマッチング、移住者と地元との橋渡しを行う

ボランティア団体「椽」の活動等により、11世帯30名の移住が実現しています。福住校区では、移住に加えて小規模特認校制度を導入した結果、少子化にも関わらず生徒数の増加を達成し、令和3年度からは福住小中一貫校が新たにスタートしました。

また、令和元年から福住中学校舎の民間利活用を模索してきており、令和3年度は、「なら国際映画祭」エグゼクティブディレクターを務める河瀨直美監督に、コロナ後のリビングシフトや里山資源の活用による高原活性化のビジョン策定をお願いしました。このビジョンの下、令和4年1月から、地域の資源や価値の再発見や、持続可能なモノづくりについて、株式会社良品計画と共同で、子ども達への特別授業を開始しました。

現在、良品計画に加えて、地元農家、高原地区を拠点とする生産者、市内企業、大学等と連携し、「大和高原『福住村』プロジェクト」を進めています。2月には、地元各自治会から評議員の参加を得て、正式に会議体を発足しました。目的は、旧中学校跡地の利活用に留まりません。集落営農化による放棄地対策や、山林のバイオエネルギー利用も含め、脱炭素社会に向けた未来の地方のあり方を、高原地域から発信します。大阪関西万博のプロデューサーも務める河瀨監督には、改めて「耕す人」「開拓者」等を意味する「カルティベイター」に就任いただきます。3月末には、第一段階として地域交流イベント「市」を開催予定です。

福住校区に限らず、脱炭素社会に向けた取り組みの強化は、今を生きる私たちにとって将来世帯に対する責任、使命です。地球温暖化対策の意識を高め、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指し、天理市は、令和3年3月に「天理市ゼロカーボンシティ宣言」を行いました。

天理市環境連絡協議会をはじめとする関係団体と連携し、多世代への環境教育・啓発を強化します。また、再生可能エネルギーの普及策として、公共施設への太陽光発電システムの設置も計画していきます。

他方で、太陽光発電設備をめぐり、土砂災害等が警戒される地域での不適切な設置や、森林の伐採による環境破壊など奈良県内でも地元との間でトラブルも発生しています。「天理市太陽光発電設備の適正な設置及び管理に関する条例」を制定し、災害警戒区域等を「事業禁止区域」に定めます。また、農地や歴史的景観、自然環境への影響が懸念されるエリアは「抑制区域」として、地元への適切な説明等を求めます。

=ポストコロナを見据えた持続可能な「行政サービス」の実現=

重点項目の第五は、ポストコロナを見据えた持続可能な「行政サービス」の実現です。

「みんなの学校プロジェクト」とデジタル地域通貨を両輪として、本市のファシリティー・マネジメントは、新段階に入ることを冒頭ご説明しました。

また、NTT西日本との連携により進めてきた自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)「デジタル市役所」事業では、昨年10月から保育所の電子申請を開始し、本日3月1日より、転出入、出生時の届出等、住民票や戸籍に係るデジタル申請サービスを開始します。

転出については、マイナンバーカード保有者は来庁しなくても手続きを完了できます。また、転入、出生時の手続きも、スマートフォン等で事前に申請を行えば、来庁時に紙の記入等は不要となり、待ち時間や手続きの大幅な短縮が可能となります。

RPA、AI-OCRによる業務プロセスの自動化は、税業務・ふるさと納税業務・会計年度任用職員報酬支給事務などで活用しています。今後も、導入効果の高い業務での活用について検討を行い、業務の効率化を目指して参ります。

令和4年度より、電子決裁(文書管理)システムの運用を開始する予定です。これまで、紙の文書で文書処理業務を行っているところ、システム導入により、文書の起票から決裁、保管までの「行政文書サイクル」を、システム上で統合的に管理できます。

政府はマイナンバーカードの普及促進を、行政デジタル化の基礎ツールに位置付けています。今年1月から、第2弾のマイナポイント施策も進められ、健康保険証としての利用や、給付金等の公金受取口座登録が進められていきます。

本市は、住民票や印鑑証明書をコンビニでも取得できるサービスを、平成28年度から実施してきました。3月末からは戸籍証明書、6月中頃から税証明書の交付も可能になるよう準備を進めています。令和4年2月13日時点の本市のマイナンバーカード交付件数は30,629件で、交付率は48.1%です。高齢者等の移動困難な方のため出張申請受付を増やし、いっそうの普及に努めます。

 デジタル化は手段であって、それ自体が目的ではありません。しかし、人員や財源に限りがある中、デジタル化により業務を効率化し、将来をみすえた政策立案や、対面での相談業務など、きめ細かい行政サービスに市役所の力を向けていけるよう取り組んで参ります。

持続可能な行政サービスを実現する上で、他市町村との広域連携も重要な鍵となります。

県内10市町村で組織する「山辺・県北西部広域環境衛生組合」が進める新クリーンセンター事業は、令和3年度に設計・施工・運営に当たる事業者を決定し、契約を締結しました。令和4年7月から焼却施設、令和5年3月から粗大・リサイクル施設の建設工事を開始し、令和7年4月末日の完成を予定しています。  

また、「周辺地区環境整備基金」を活用した事業については、周辺地区からの要望に基づき、組合議会のご承認を得て、自治会館の新設や自主防災倉庫の整備などを順次、周辺地区において開始していただいています。

新クリーンセンター事業は、地元をはじめ、10市町村民の皆様との信頼関係を第一に、環境保全に万全の対策を講じて進めて参りました。いよいよ、施設建設に取り掛かる段階となり、関係各位のご協力に心からお礼申し上げます。

ごみ処理施設を社会インフラとして捉え、廃棄物エネルギーによる発電や災害時の防災拠点としての活用、脱炭素・持続可能な社会に向けて、環境を学び合う場の創出、地元振興にも寄与する新ごみ処理施設を令和7年5月に稼働するべく、引き続き全力で取り組んで参ります。

以上、新年度の施政方針と重点項目の概要をご説明しました。

厳しい感染状況が続く中、命と暮らしを守ることは、行政にとって最も基本的な、最大の使命です。同時に、これまでの「当たり前」が「当たり前」でなくなったコロナ禍の2年間を経て、これから感染が終息したとしても、単純に元の世の中に戻ることはないと考えます。昨年の施政方針で、「明けない夜はない」と申し上げました。私たちは、同じ朝を迎えることも、ありません。

持続可能な社会に向けて多様な課題が山積するコロナ後の時代に、天理が輝けるかどうかは、今の私たちの努力にかかっています。支え合う地域社会を再構築し、天理市の未来をオール天理で切り拓いていくために、令和4年度予算案をここにお諮りします。議員各位のご賛同とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

Category
Archive