平成30年度施政方針 天理らしい「共に支え合う」地域社会を再生する

平成30年度当初予算案の提案を行うにあたり、新年度における市政の展望と基本姿勢についての所信をあわせて申し上げます。議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

◆はじめに
昨年10月より市民の皆様のご付託により、2期目の市政をお任せいただくにあたり、平成30年度予算はその方向性を指し示すものと位置付けています。これまでの「共に創る」街づくりを、活性化と暮らしの充実に、確かに根ざしたものとしながら、「共に支え合う」地域社会を再生する。この目標に向けて、政策間の連携を重視し、限られた予算で最大限の政策効果を生み出すことができるよう、全体をパッケージとして捉えた予算編成を行いました。市役所全体が一つのチームとして実施していくために、私もその一員として一層精進して参る所存です。

H30 施政方針

これまでの4年あまり、「共に創る」を理念に掲げ、議会・地域と三位一体の下、本市らしい地方創生を目指し取り組んで参りました。前栽小学校をはじめとする教育・保育施設の充実、櫟本公民館、子育て世代すこやか支援センター「はぐ~る」、「メディカルセンター」、「しごとセンター」「テレワークセンター/産業振興館」や、天理駅前広場コフフンなど、子育て世代から高齢者まで、多世代を繋ぐ拠点づくりが進んだことは、ひとえに議会のお力添えによるものであり、改めてお礼申し上げます。
また、本市の街づくりと連携して、国や県の事業も進み、名阪側道の開通や九条バイパスの事業化など道路アクセスの改善、奈良県「国際芸術家村」構想の本市誘致など目覚ましい成果が出ています。

上記の施策は、いわゆるハード整備の列挙と捉えられるかもしれません。しかし、ハードの整備自体が目的ではなく、ソフトの充実によりどれだけ付加価値をつけることができるかが重要です。市民の皆さまから付託を受けた予算を執行するにあたり、常にその成果指標をもって取り組んでいます。

例えば、メディカルセンターは単なる診療所の新設ではありません。まちかど相談室、地域包括ケア広場、健康ステーション等での取組を併せ行うことにより、在宅医療と介護を結ぶ拠点として機能しています。また、民間資本と連携した認知症予防事業など、全国初の事例として注目される事業も進んでいます。
福祉や健康づくりの事業が、より多くの市民の安心と、暮らしの豊かさに貢献するためには、事業を知っていただき、利用者のすそ野を広げ、利用者間の絆づくりを行う「政策アウトリーチ」が鍵となります。
乳がん検診をはじめ各種がん検診の実施、市歌に合せた健康体操「いちょう体操天理」、本市が開発した介護予防体操「STEP体操」、先輩ママの視点から寄り添った子育て相談を担うドゥーラの活動、そしてメディカルセンターでの事業等について、昨年4月にオープンした天理駅前広場コフフン及び南団体待合所を活用したアウトリーチを行ったところ、参加者の増加や、新たな受診や相談等の成果が生まれています。また、コフフンは、市民の皆さまによる自主的な活動にとっても、アウトリーチの場となり、新たな参加者の増加や、他の活動との協働など様々な化学反応が見られます。

コフフンでは、開所以来の11か月で、音楽、映画、スポーツ・ダンス、子育て、健康づくり、障がい者福祉、地元行事、ワークショップやシンポジウムなど、計255件の事業が行われました。その内、オープニングイベントや、国民文化祭・障がい者芸術文化祭など行政が関ったものもあります。ですが、企画運営のエンジンとなり、多くのご来場者を惹きつけたパワーの源は、これまで各分野での活動を育んでこられた市民の皆さまです。その他の圧倒的多数は、有志による取組みであり、正直に申し上げて私どもの予想を大きく上回る活況です。子ども達が遊びまわる中で、天理教校学園のマーチングや天理大学の雅楽をはじめて見たと感動で涙されている市民の皆さまに、私も多く出会いました。雨天の中、24時間実施されたガン撲滅のための「リレーフォーライフ」に飛び入り参加される方がありました。復興支援に取り組む学生や、部落解放同盟青年部の皆さまをはじめ、多くの若者が、事前に熱心にチラシを配り、自身の取組みを一生懸命に発信する姿がありました。核家族化により季節の行事が薄れていく中で、自分たちにも何かできるのではないか、と次々にイベントを開催するママさん達の輪が生まれました。

駅の目の前のオープンスペースが、市民の皆さまによる街の成長と賑わい、絆づくりのエンジンになっている。この一年、多くの雑誌やTV番組でコフフンは取り上げられていますが、当初はデザイン、建築の視点からの特集が主であったのに対して、夏以降は、新しい街のあり方に注目が明らかに移っています。駅前開発をはじめ、街づくりに取り組む他府県の自治体や市民グループ、海外からの視察団も多く受け入れるようになりました。
「街づくり協議会」が中心となって進めてきたコフフン・プロジェクトが、街づくりの全体像の中で道路インフラの整備・事業化につながっていることは、以前にも述べてきたとおりです。さらに、駅周辺に新店舗が増加し、市内各地でホテルやスーパー、大型書店、カフェの開業など、少しずつではありますが、民間ビジネスの流れも引き寄せてきた中で、市全体の活性化にどこまでつなげていくことができるか、まさにこれからが正念場と言えます。また、国際芸術家村構想など県の事業とも一体となって、地方創生の好循環を生み出すために、この平成30年度からの数年間が勝負です。

そして、コフフンで芽生え始めた天理の魅力を、市民の皆さま同士がつないでいく流れは、天理駅周辺に留まるべきではありません。市民の皆さまの日常生活圏に広がってこそ、支え合いのネットワークづくりに貢献することができると考えています。櫟本公民館等で動き始めている、多世代の絆づくりの拠点としての新たな公民館運営、各種サロンや、食事を通じた居場所づくり、介護予防リーダーの活動など、すばらしい種が、既に芽生えつつあります。
孤独や不安を乗り越え、愉しみながら、天理ならではの魅力により付加価値を高めた豊かさの中で、支え合える絆を地域社会の中で涵養していくために、行政も精一杯汗をかく。平成30年度予算は、この目標に沿って、折り返しにかかった創生戦略を再構築し、「共に支え合う街づくりに向けた政策パッケージ」として、ご提案します。

◆予算の全体像
こうした認識の下、議案第6号、平成30年度天理市一般会計予算(案)についてご説明申し上げます。
一般会計の予算額は、歳入歳出とも249億2,000万円、前年度比で2,000万円、0.1%の減少です。
歳入では、市税については前年度並みになると見込んでおります。
歳出においては、国営大和紀伊平野土地改良事業への負担金にかかる農林費及び各小学校整備事業などの教育費の増加が見込まれる一方、特別会計への繰出金、基金への積立金の減少により、歳出総額は微減となっております。

◆歳入
それではまず、歳入からご説明いたします。
市税は、個人・法人市民税ともに前年度並みとなる見込みです。固定資産税は、家屋において平成30年度が評価替にあたるため、減収を見込んでいるものの、償却資産において大規模設備の事業開始等による増収を見込んでいます。市たばこ税は、たばこ離れが進んでいる影響で減収となる見込みです。市税総額は、74億2,600万円となり、前年度比5,500万円、0.7%の増収となる見込みです。
地方交付税は、基準財政収入額が増加するため53億5,300万円となり、前年度比2億200万円、3.6%の減収を見込んでいます。
国庫支出金は、文化財保護事業にかかる補助金が増加するものの、都市計画街路事業及び臨時福祉給付金事業にかかる補助金の減少により、34億9,700万円となり、前年度比1億7,100万円、4.6%の減少見込みです。
市債は、観光施設整備事業債が減少するものの、国営大和紀伊平野土地改良事業完工に伴う負担金等の農業農村整備事業債及び小学校施設整備事業債の増加により、20億8,100万円で、前年度比3億400万円、17.1%の増加となります。
これにより、平成30年度末の一般会計の市債残高は、251億2,400万円となり、前年度に比べて3億7,000万円減少する見込みです。
また、財政調整基金の取り崩し額は、前年度に比べて1億2,000万円増の8億3,000万円で、平成30年度末の財政調整基金残高は、5億8,900万円で推移するものと見込んでおりますが、決算時には若干の積み増しがあるものと想定しています。

◆歳出
次に、歳出について申し上げます。
目的別の歳出の状況をご説明しますと、歳出全体の約40%を占めます民生費は、97億300万円で、前年度比2億2,900万円、2.3%減少しています。これは、児童福祉費が増加するものの、国民健康保険特別会計への繰出金が制度改正により減少するためです。
次に、土木費は、30億5,000万円となり、前年度比3億1,200万円、9.3%の減少となっていますが、これは、都市計画街路改良工事及び道路改良工事費の減少等によるものです。
次に、公債費については26億2,600万円となり、前年度比1,800万円、0.7%減少しましたが、教育費は25億3,800万円で、各小学校整備(空調設備整備)工事費の増加により、前年度比1億2,100万円、5.0%増加したほか、衛生費は18億500万円で、旧市立病院解体工事費の増加により前年度比5,500万円、3.1%増加しています。
 
以上が歳入歳出の全体像でございます。この4年間、実質収支では約8億~11億円の黒字決算となり、将来負担比率を改善する中で、国県補助金も積極的に活用しながら、やりくりして参りました。しかし、今後は新クリーンセンター整備事業等の大規模事業が控えており、昨年の台風21号のような災害時に迅速に対応するためにも、一定規模の財政調整基金の確保が必要と考えております。今後は、なお一層「入るを量りて出るを制する」施策に注力し、持続可能な財政運営を目指しながら、政策の効果を最大化する努力を行い、また遊休資産の有効活用についても積極的に進めていく必要があると認識しています。

◆重点施策、主な事業
次に、平成30年度の重点施策と主な事業について、「天理市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の4つの柱を軸にご説明申し上げますが、冒頭にも申し上げたとおり、核家族化や高齢者世帯の増加により地域や家族で支えあう力が弱まっている中で、支え合いのネットワークを再構築するために、政策間の連携を重視し、働き盛りや子育て世代にも選ばれ、多世代が住み慣れた地域で安心して暮らし続けたいと思える街に向けて、施策を展開して参ります。

Ⅰ 地域資源と新しい技術・多様な働き方を融合し、安心・充実して働ける場を創出
第一の柱は、「地域資源と新しい技術・多様な働き方を融合し、安心・充実して働ける場を創出する」です。
本市は、京阪神の都市部への通勤においては地理的に不利な点があり、市内に大学等があるため10代後半から20代前半にかけての若年層が多いにもかかわらず、就職や結婚を契機とした転出が多いことが課題です。現役世代の人口流出の抑制のため雇用に着目した創生プロジェクトを進めてきました。
市内に多い中小事業所の経営力向上、金融円滑化支援を強化し、近年特に全国的な課題である後継者不足の問題解決にも取り組むことで、これまでに育まれてきた雇用を守りながら、創業支援により新たな雇用の創出を図ります。また、子育てや介護により就労できなかった女性や障がい者の皆さまも含めて、誰もが自分の事情に応じ、長所を活かして働くことができるよう柔軟な働き方改革を進めて参ります。

中小企業の金融円滑化では、「天理市中小企業融資規則」を平成27年に改定し、返済期間を4年から5年に延ばし、より活用しやすい運用を目指してきました。その他、融資利下げ補給、信用協会保証料を市が負担する等、利用価値の高い融資となっています。平成29年度は店舗改造のため2件の貸し付けがあり、完済後に再度融資を受ける方も多く、引き続き同制度を活用した中小企業の経営安定化や事業拡大の促進に努めて参ります。

創業支援では、平成27年度から、経営、財務、人材育成、販路開拓といった基礎知識の講習や先輩創業者の体験談、専門アドバイザーの指導・助言などの創業支援セミナーを商工会に委託して実施し、これまでに、小売や飲食店など多岐にわたる分野での創業希望を持った48名がこのセミナーを修了されました。この卒業生を含む、創業に取り組む起業者が、市内での店舗開設を行う際に、実験的な出店を低い賃料で受け入れ、事業を軌道に乗せて、将来本格的に市内で出店し定着できるようにするため、天理ステーションストア内に来年度にチャレンジショップ2店舗分をオープンする予定です。ここをベースに、商工会とも連携して経営をサポートしながら、市内での創業出店に結び付けます。

また、平成27年1月に、企業立地支援条例を大幅改正し、全業種に対して優遇措置を強化しました。その成果として、例えば福住町での三甲株式会社の工場を増設し、生産用機械メーカーが南六条町の工場を増設したほか、平成29年度は、市内スーパーが店舗を拡大移転、食品卸会社が西長柄町に拠点を新設、消防署跡地にカフェを併設した大型書店が開店するなど、優遇措置適用件数だけ見ても平成27年から平成29年までに8件の申請がありました。今後も積極的な誘致活動により、市内での雇用創出と産業振興を図ります。

事業承継支援事業では、平成29年度に商工会との連携により、経営者の年齢が概ね55歳以上の中小企業へ個別訪問等によるヒアリング調査を行いました。平成30年度は、この調査結果を活かし、商工会によって、創業希望者と後継者不足事業所とのマッチング等の施策が行われる予定です。

また、今年度に総務省の採択事業として実施した「地域の人事部戦略策定事業」のアンケート結果から、求人側は専門性の高い技術職のフルタイムの求人ニーズが高いのに対し、求職側は、子育て中の女性を中心に、必ずしもフルタイムではなく週2、3回程度、短時間での就労を希望するニーズが大きい等、雇用側と就業側のミスマッチがあることが判明しました。
平成30年度は新規の就職支援により、仕事の見つけ方、履歴書作成、面接でのマナー等の相談、また、特に子育て世代に対しては、就労と育児の両立等といった心理的不安を解消するためのカウンセリング等を実施しつつ、事業者と就業希望者の個別マッチングを実施します。また、「はぐ~る」での子育て支援事業や、男性の育児参加を促進する事業との政策間連携、前栽幼稚園での長時間預かりの実施、全ての公立幼稚園での長期休暇中預りの実施など、幼稚園も活用して短時間就労をサポートする取組みと組み合わせ、相乗効果を目指した施策を展開します。市行政の体制強化も必要であり、女性の就労や地域活動への参画を支援し、女性の活躍推進を図るため、くらし文化部の男女共同参画課を市長公室に移管し、課名を「女性活躍推進課」に改めます。

ICTを活用した柔軟な働き方改革では、平成28年度に開始した産業振興館におけるテレワーク事業が、妊娠期の離職防止や介護離職防止など、全国的にも注目される成果を上げ、創生戦略立案時の目標であった5社を大きく上回る14社が継続利用しています。

平成29年度には、「テレワークによる雇用創出」を目指し、出産や育児によりキャリアを中断せざるを得なかった女性を対象に、企業側の雇用ニーズを踏まえた技能習得の講習会(3D-CAD技術の習得)を実施し、人材の育成と就労を一体的にサポートする事業を展開したところ、研修修了者の中では、早くも大手建設会社等から業務の発注を受け、実際の収入を得たケースが出ています。受講生は、週末にも自主的に来館する等熱心に受講されており、平成29年度に延べ約2,000人に対してスキル訓練を実施しており、平成30年度は新規受講者を募り、更に拡大してまいります。
場所や時間を有効に活用できる働き方であるテレワークは、障がい者就労支援にも有効であると考えています。平成30年度は、女性に加えて、市内在住の障がい者を対象に、バーチャルオフィスソフト等を活用し、個々にあった場所で就労の準備訓練を行うことにより、市内に住みながら都市部の企業に遠隔で雇用されるテレワーカーを育成します。

市内の雇用を充実させるためには、農産品も含めたモノづくり支援により、市内産業を活気づけ、販路を拡大し、「稼ぐ力」を高めていくことも不可欠です。また、豊かな農地を保全し、土地に根ざした魅力あるモノづくりを高めていくことは、産業振興の支援だけでなく、都市の利便性と里の豊かさを兼ね備えた「サトマチ」として、天理で暮らすことの付加価値を高めていくことにも直結します。天理駅周辺、北部、南部、高原地区の何れの街づくり協議会でもこの点を重視しています。

先ず、天理市にとって重要な産業の柱である農業分野では、近年特に深刻な耕作放棄地対策として、集団化の促進を重要施策としてきました。これまでに南檜垣営農組合、和爾営農組合、下山田営農組合が、ブランディング事業の下でのモノづくり、地域の活性化事業や周遊観光、マルシェへの参加等、先進モデルとして活躍下さっており、北檜垣でも組合設立に向けた準備が進んでいます。平成29年10月には、これら営農組合の取組について、横の連携を強めることで地域農業の発展を図るため、「集落営農組織等連絡協議会」が発足しました。平成30年度より、市としても同協議会を助成し、地域協議会など幅広く農業に関わる組織や、集落活性化を考えている方々にもオブザーバーとして会議に参加していただくことで、集落営農組織の増加また組織間交流の促進により地域農業の活性化を共に目指して参ります。
また、農業や里山の魅力を軸にした交流事業、マルシェ、直販所の開設等が、蔵之庄、岩屋、山田、長滝、柳本など各地に広がっており、地域自らが地域を元気にする取組みを全面的にサポートしていきます。

土地改良事業では、安定した営農活動を支える礎として、国営で施工された大和紀伊平野土地改良事業や、奈良県が実施している白川ため池農業用給排水システムに係る当市負担分の支払いを平成30年度に開始します。多面的機能支払事業では、地域の共同活動、交流の活発化により「地域の農は地域で守る」という思いを醸成するため、集落で行う水路修繕、農道作り、草刈りなどの活動、また農業施設の管理等を32組織に対し支援します。

鳥獣害対策では平成28年度より猟友会の皆様により、地域と期間を限定し、集中的に「くくり罠」による捕獲活動を行っています。平成30年度は、4月から6月の出産前に捕獲することにより、固体数の抑制が見込まれるため、実施に向けた体制づくりを進めます。また固体数の抑制に加え、獣害に強い里山づくりも重要です。害獣の生息地と農村地域の間に緩衝帯を作り進入を防止するモデル事業を、29年度から30年度、萱生町において進めており、効果を分析し、他地域での適用可能性も検討して参ります。

また、新規就農者も惹きつけることができる魅力ある農業に向け、農家の皆さまの特産品開発や販路拡大を支援する取組みをより力強く進めます。平成28年度及び29年度には、奈良佐保短期大学と連携し、天理市産のぶどうを使用した洋菓子の「ならスイーツコンテスト」への出展、県内モスバーガー各店舗における天理市産トマトを使用した期間限定ハンバーガーの販売、市内「餃子の王将」での本市産トマト・ナスを使用した麻婆茄子の販売等、何れも好評を得ました。また、柿・苺の県内有数の生産地であることを、幅広い年代の市民に共有するため、公立保育園への産品提供も実施しています。県外においても、東京ドームで開催された「ふるさと祭り東京」への出店、沖縄県内のファーマーズマーケット5店舗での本市産の柿・苺など販路を拡大している他、雑誌「婦人画報」で柿、柿の葉茶、苺、大和芋、マコモタケ、味間芋等が特集される等、天理の農産品に対する注目は着実に高まっています。

加工品のブランド力強化では、平成28年度から天理市ブランディング・プロデューサーである服部滋樹氏と連携し、毎年3事業者を目途に商品開発と販路拡大支援等を実施しています。平成29年度は、コフフンショップやトレイルセンターでの販売、都市部での地域産品発信イベントへの参加を行いました。また、開発商品が多くの雑誌等で発信され、新商品への都市部の百貨店等からのオファーを受けるなど、事業者にも成果を実感いただいています。平成30年度は、更なる商品開発に加え、本市ブランディング事業「めぐみ めぐる てんり」の取組の下で、周遊観光や定住促進とも組み合わせた展開を行っていきます。
モノづくりは、単に魅力ある商品を生み出すだけでなく、作り手の想いや、商品づくりのストーリーと合せ、土地の物語として伝えていくことが重要です。平成30年は、「めぐみ めぐる てんり」WEBサイトにおいて、これまでに作成したPR映像に加えて、天理のモノづくりや文化芸術活動に携わるヒトに注目しながら、次々に物語を発信していくことで、天理の魅力を発信して参ります。

その他、マイナンバーカードを活用した地域経済好循環の取組として、総務省主管の「マイキープラットフォーム構想事業」を展開していきます。クレジットカードや航空会社のマイル等は、今や全国で数千億円規模と言われていますが、その大半はインターネット取引か大都市圏での消費に留まっています。平成29年度、本市は商工会と連携し、地元商店での消費喚起のための地域応援ポイント

「めぐみめぐるてんりポイント」事業を実施したところ、わずか7日で585万円の売り上げを達成し、大きな反響を得ました。既に、コフフンショップでは、マイナンバーカードを活用して、クレジットカード等のポイントを地域経済応援ポイントに転換できるパイロット事業を実施しています。平成30年度以降は、商工会と一体となって全市的な拡大を目指して参ります。また、地元消費の喚起に加えて、介護予防のためのSTEP体操やいちょう体操天理等の健康増進につながる事業への参加者に対し、行政ポイントを付与して参加を促す等、地域の活性化と健康を掛け合わせた事業を一層充実させていきます。

Ⅱ 天理ならではの魅力を活かし、新しい人の流れをつくる
第二の柱は、「天理ならではの魅力を活かし、新しい人の流れをつくる」です。本市には、全国そして世界に誇る自然・歴史文化遺産やスポーツ・音楽等の様々なコンテンツがあります。市民の皆さまによって育まれた、すばらしい力の一端は、今年のコフフンの活況からも、改めて確認されました。そして、コフフン・プロジェクトにおいても課題としてきたのは、様々な全国レベルの活動も、当事者や近親者、身近なサポーターの皆さまと、その他の市民の皆さまとの間で、認知や参加の度合いに大きなギャップがあることです。市全体の魅力につなげていくためには、可視化し、共有し、広がったすそ野をつなぎ合わせて、新たな魅力を創造することが重要です。

平成31年度にラグビー・ワールドカップ、平成32年度に東京オリンピック・パラリンピック、平成33年に国際芸術家村の開村を控えるこれからの数年は、本市が従来から育まれてきた芸術文化、スポーツの地域力を再認識し、市民の皆さまと改めて高め、街の活性化、そして教育や福祉も含めた日々の暮らしの楽しさや喜びにつなげ、天理を一層豊かにする、「宗教文化都市リノベーション」の好機と捉えています。
  

天理を周遊する観光と健康づくり、特産品の発信を掛け合わせた取組として、地域の活動団体主導によるノルディックウォーク、県やJR、コフフン内サイクルショップと連携したサイクル・イベント等が近年飛躍的に充実してきました。奈良市と天理市を結ぶ「伝山の辺の道」では北部活性化プロジェクトが中心となり、櫟本公民館を拠点として、ボランティアや学生も参加した活性化事業を進めています。
また、平成29年4月にリニューアル・オープンした「天理市トレイルセンター」は、指定管理者が中心となって地域の文化団体や企業、寺社等と連携した周遊の流れを積極的につくり、前年度比で倍以上の来館者があります。

この新たな人の流れを、より市内で循環させ、消費を含む活気につなげることが、今求められています。県が整備を進めている(仮称)奈良県国際芸術家村は、奈良県で受け継がれてきた伝統技術の継承、文化財活用に加え、国内外のアーティストによる活動を支え、農村交流施設等も備える複合施設であり、私も地元自治体代表として「検討委員会」に参加しています。同委員会の議論では、国際芸術家村が果たすべき役割として、県内各地の歴史・文化資産、名所旧跡や観光スポット等と、芸術文化を切り口として結びつける「ゲートウェイ」の機能も期待されています。本市としては、国際芸術家村の施設内だけが賑わうのではなく、農業や周遊観光も含めた市全体の活性化につなげ、また地域が一体となって国際芸術家村のソフト事業と連携した盛り上がりを創っていくことが重要であると考えています。

そこで、天理駅周辺から芸術家村までのエリアを、芸術文化をテーマに活性化を図る「芸術文化エリア構想」を進めて参ります。平成29年度、先行事業として、総務省主管の地域経済循環創造事業交付金を活用し、天理駅前のゲストハウス開業助成を行いました。平成30年度は、同ゲストハウス等に芸術家が一定期間滞在して作品製作を行い、市民との交流を図る「アーティスト・イン・レジデンス」を試験的に実施します。また、制作された作品の展示やワークショップの拠点として、商店街の空き店舗等を活用した展示スペースを確保し、芸術文化による地域活性化を図ります。天理駅周辺から国際芸術家村までの地域は、本通り商店街、天理教教会本部、天理大学及び天理参考館、石上神宮、山の辺の道、上ッ道をはじめ多彩なコンテンツが並ぶエリアであり、瀬戸内や六甲、奥能登など、芸術文化による地域活性化で成果を挙げている先進事例も参考にしながら事業を展開します。

また、平成29年度には、市民及び市議会の多大なご協力と参加を得て、なら国際映画祭エグゼクティブ・プロデューサー河瀬直美監督のプロデュースの下、イランのアイダ・パナハンデ監督により本市内を舞台にした映画の製作が行われました。同作品は、平成30年9月のなら国際映画祭オープニング作品として公開予定です。また、撮影風景を記録したメイキング映像を作成し、市民と共に創った、地元の誇りの結晶として市内外に発信します。

古から受け継がれた文化財の保存としては、奈良県国際芸術家村での活用に向けて、豊田トンド山古墳から出土した馬具や武器など金属製品の保存処理を行います。市内から出土した考古資料の公開や、周辺古墳群の周遊体験などの企画検討も進めます。特に、至近の西乗鞍古墳が平成30年に国の文化財に指定されたことを受け、市民の憩いの場として、また山の辺の道エリアの周遊観光の拠点として活用するために、用地を取得します。平成31年春には、再び市民の皆さまに花見を楽しんでいただけることを目指し、除草や枯れた樹木の伐採など管理作業を行います。

スポーツでは、平成30年3月に完成する市立総合体育館のリニューアルに伴い、フットサルの国内トップチームによる公開練習試合やクリニック等を行います。また、トップアスリートによるサッカーやラグビー、バスケットボールなどの体験講座を提供します。同運動公園敷地では、平成29年度に健康遊具の設置も行っており、健康づくりとスポーツを組み合わせた拠点として活用していきます。

平成31年のラグビー・ワールドカップ日本大会の公認キャンプ地や、平成32年の東京オリンピックの柔道競技のキャンプ地の誘致に向けて、同事業を市全体で推し進めていくため、平成29年7月に「天理市スポーツキャンプ地推進実行委員会」を設立しました。
ラグビーでは、公認キャンプ地として組織委員会に申請しており、今後出場国・地域の視察を受ける予定です。これまでに、天理出身で日本代表主将の立川理道選手等の協力のもと、トークイベントや、天理出身選手が多数在籍するクボタスピアーズと連携したラグビークリニックの開催によって機運を高めてきており、引き続き取組を進めていきます。

東京オリンピック柔道競技については、一昨年のリオ五輪以来、大野将平選手をはじめ天理柔道会の皆さまの活躍が続いています。引き続き、天理で合宿を行う海外柔道チームとの交流や視察の受け入れ等を行いつつ、気運醸成と啓発事業を行ってまいります。

国内外のトップアスリートを惹きつけるスポーツの街としての魅力を高めるためには、地域に根ざした市民の活動をさらに発展させていくことも重要です。平成30年3月に設立予定の「北部総合型地域スポーツクラブYYクラブ」に対し、自立支援とクラブマネージャー設置を支援するとともに、南部を活動拠点とする「天南クラブ」の活動を引き続き応援します。また、スロージョギング等、健康づくりと周遊観光を組み合わせた新たな取組みも、市も一体となって促進していきます。

これらの天理で暮らす魅力を、実際の定住・移住促進につなげていく取組も不可欠です。その手段の一つとして、本市では空家の積極的な利活用にも取り組んで参ります。平成28年度に、「天理市空家等対策協議会」を設置するとともに、水道閉栓データを取得して空家管理システムを構築しました。平成29年度は、前年度の調査データを活用し、区長連合会及び民生児童委員のご協力を得て、空家の実態把握調査を行いました。今後は、安全及び治安、衛生面等で問題となる特定空家等への対策に加え、「空家バンク」を創設し、歴史文化の豊かな山の辺の道エリアや高原地区への移住促進を進めて参ります。

Ⅲ 子どもを産み育てたい人の希望が適う、選ばれる街になる
H30 施政方針2

第三の柱は、「子どもを産み育てたい人の希望が適う、選ばれる街になる」です。未来を担う子ども達を育むために、そして現役の子育て世代に選ばれる街であるために、地方創生総合戦略の中でこの柱を重視してきました。特に、「孤立解消」や「地域との絆」をキーワードとして、妊娠期から出産から子育ての各ステージに至る切れ目のない支援、また天理らしい豊かな教育環境の整備と教育内容の充実を、全体の流れとして捉えた施策を進めてきました。平成30年度は、子育て分野においても、共に支え合える地域社会の実現を主眼とした施策を進めていきます。

子育てにおける孤立、いわゆる「孤育て」の解消のため、平成29年3月に、切れ目のない子育て支援「天理市版ネウボラ」の拠点として、天理市子育て世代支援センター「はぐ~る」を開設しました。「はぐ~る」では、親子が自由に集まれるサロンを運営するほか、各種の親子教室も開催しており、年間延べ利用人数は、当初見込みの6,500人に対して2月末時点で既に約9千人と、予想を大きく上回る方に利用いただいています。また、親子が自由に集まり、様々な子育て情報が入手できる「地域子育て支援拠点」は、「はぐ~る」の他にも民間の4施設があります。これらの安定した事業を支援し、地域の中で子育て世帯が安心できる環境を市全体で確保していきます。

また、子育て支援団体や地域の身近な子育てサークルの活動をこれまで以上に支援するとともに、「まちづくりのパートナー」として連携し、協働を深めてまいります。平成30年度も、天理市版ネウボラ深化事業では、民間子育て支援団体の育成強化と親子教室の拡充を引き続き行います。

「産前産後サポート事業」では、心身ともに不安定になりやすい、妊娠期から出産後4か月ごろまでの周産期において、ドゥーラが、ベビーサロンを通じて相談や情報提供を行い、求めに応じ家事や育児のサポートを行っています。ドゥーラは、コフフンでもアウトリーチを実施していますが、平成30年度は更に認知度を高めるため、活動の様子を南団体待合室の映像等でも紹介します。また、子どもを安心して産み育てやすい環境を確保するためには、強い育児不安がある、または家族からの支援が受けられない等、支援を必要としている産後4か月未満の母子に対する「産後ケア事業」が重要であり、助産院でのショートステイにかかる費用の助成を実施します。

そして、子育て中の女性の不安解消、負担軽減、また就業を促すためには、男性の積極的な育児参加が不可欠です。平成29年度から平成32年度の事業として、父子が自然の中で体験を共有し信頼関係を育むためのキャンプや、父子で参加する家事育児講座、パパ同士の仲間づくり等を行い、いわゆる「イクメン」の育成や、子育てに関する地域活動への父親の参画を図ります。
 
次に、子育て世代の負担軽減策として、子ども医療費助成を本市では平成28年8月より、中学生に対象を拡大して実施しています。現在は、医療機関の窓口で自己負担分を一旦支払っていただく自動償還払いの制度となっておりますが、負担軽減の観点から県と積極的に議論を重ねてきた結果、平成31年8月分の医療費から、子ども医療費助成・ひとり親家庭等医療費助成・心身障害者医療費助成の一部ではありますが、就学前の乳幼児の医療費助成について、自動償還払いから窓口負担を軽減する現物給付化に切り替える運びとなりました。今後、本市における実施準備を進めて参ります。
また、ひとり親家庭等医療費助成、児童手当の支給、児童扶養手当の支給、妊婦一般健康診査費用助成、不妊治療費助成等の支援を引き続き着実に実施し、子育ての経済的負担の軽減を図るとともに、身体的・精神的な負担の軽減を図って参ります。

近年、学童保育の需要が急速に高まっており、子育て世代の就労支援の観点からも重視しています。二階堂学童保育所及び井戸堂学童保育所において、平成30年度に待機児童が発生することを回避するため、両小学校の教室や既存施設を活用して、新たに第二学童保育所を設置し、受け入れ枠を拡大して保育の充実を図ります。

教育環境の充実では、市内8小学校の普通教室に空調設備を整備し、夏期の熱中症防止や学習効率の向上など、教育環境の改善を図ります。また、児童の安全確保のため、経年により改修が必要な施設・設備について順次改善を行います。平成30年度には、二階堂小学校の給食リフト改修工事、櫟本小学校校舎屋上防水改修工事、丹波市小学校渡り廊下耐震補強工事等を予定しています。柳本校区及び柳本小学校の皆さまの多大なご協力より実施してきた柳本幼稚園園舎耐震補強事業は、平成30年5月に完了見込みです。また山の辺小学校体育館改修事業も、同じく年5月に完了予定です。

子ども達の学力を育むとともに、それぞれの児童が、自分の良さを見つけ、自己を肯定しながら成長し、自分らしい未来を切り拓いていくための取組みを、学校現場や地域と緊密に連携し、引き続き全力で進めていきます。

市内の全小中学校では、授業充実の取組として、授業における「めあての提示」と「振り返り」の徹底を、引き続き行って参ります。全ての授業の最初にその時間の「学習のめあて」を明らかにして、子どもたちに見通しをもたせ、主体的に学習に取り組めるようにします。また、授業の終わりには、「振り返りシート」や「ワークシート」等を活用して、子どもたちに1時間の学習を振り返らせ、その時間の「学び」を確認させながら学力の定着を図っています。

平成32年(2020年)度から小中学校でプログラミング教育の必修化が行われる予定であり、平成29年度は、市内小学校教員を中心に県立教育研究所による研修を実施し、平成30年度は、完全実施に向けた準備を進めます。各小中学校でプログラミング教育担当者を決め、担当者研修を実施していく方向で体制整備も行っていきます。

基礎学力の向上のためには、放課後の活用や家庭学習を支える取組みも重要であり、「天理市教育大綱」の重点施策として位置付けています。放課後講習「まなびタイム」推進事業では、授業につながる予習や復習、自主学習を自立的に進めていくことができる「基本的な学習習慣」の確立に向けて取り組んでいます。各校は、放課後等の時間を利用し、外部講師等も活用しながら、特に学習習慣が確立できていない児童・生徒を中心に、宿題等の学習支援の場を設けています。平成29年度より本事業を開始したところ、「簡単なプリントを競争しながら学習する場面もあり、達成感をもたせる指導ができた」「普段の授業で活躍できない児童が積極的に学習に取り組む姿が見られた」「達成感や「分かる喜び」が得られるので、意欲的に学習が進む」などの講師側の評価に加え、児童からも「復習プリントをすることで、授業中分からないことが理解できた」「呼んだらすぐに先生が来てくれて、分かるまで教えてくれた」等の前向きな感想を得ており、さらなる充実を図っていきます。
また、地域の魅力を活かした居場所づくりとして、「放課後わくわく広場事業」を井戸堂小学校において実施中であり、多目的教室や体育館などを活用した宿題指導や工作・スポーツ等を継続実施していきます。

未来を担う子ども達を育む上で、幅広い地域住民や保護者等の参画により、地域社会で子どもたちの成長を支えることは極めて重要であり、学校・地域パートナーシップ事業を一層進めていきます。
その中の一つ、櫟本校区で実施している放課後学習塾「町力塾(まちかじゅく)」では、「子どもたちが地域貢献を行うことで、学習できる環境を地域で作り、子どもたちが自ら進んで学ぶ姿勢を地域で育てる」というコンセプトのもと、大学生のボランティアと地域コーディネーターが中心となり、プロジェクトチームを作って先駆的な取り組みが進んでいます。4年生以上の希望者が、櫟本公民館の自習室に集まり、復習中心の算数と漢字、社会のプリントを自分で選んで学習しています。平成29年度は、夏休みを含めて、2月までに25回開催し、延べ609人が参加しました。さらに、参加した子ども達の将来の夢を、地域が応援するプロジェクト等も進行しています。学力面で、既に明らかな成果が見られる他、「地域の人とふれあう機会が増え、自然にあいさつをする児童が増えた」「地域で子どもを見守り育てるという意識が高まった」等の声が地域から聞かれています。
また、福住S・ジョブズ・スクールでは、地域が主体性を持った教育支援活動として、「大和野菜を育てる」「ふるさと探検」「里山のめぐみ」をテーマに事業を展開し、奈良県立大学の学生も参加し、同様に子ども達と地域の絆の強化、子ども達の自己肯定感の向上等が見られます。
さらに、平成29年度、丹波市、柳本、式上、櫟本など各地で、食を通じた子ども達の居場所づくり「子ども食堂」、多世代が交流する「なかよし食堂」等の取組みが議員各位を含む有志主導、農家の皆さまの協力により進んでおり、平成30年度、市も引き続き全面的に協働して参ります。
地域と一体となり、地域で育まれてきた学校を守る取組として、高原地区街づくり協議会の最重要プロジェクトでもある福住小学校の「小規模特認校」事業を継続発展させていきます。平成29年度は、福住校区在住の児童の約2割増しにあたる校区外8名の児童が、天理駅前広場を毎日元気に出発し、名阪福住インターから学校までの道のりを地域の安全ボランティア等の皆さまに見守られながら、里山の季節の移ろいを楽しみ通学しています。福住の子ども達ともうまく溶け込み、保護者も地元行事に積極的に参加される等、地域に新たな交流を産んでいます。来年度は、さらに4名の児童が校区外から通学予定であり、中学校へのスムーズな進学も含め課題を整理しながら、本事業を一層進めていきます。

第三の柱の重要な要素として、子ども達の一人一人の個性を大切に、育んでいける教育体制のさらなる充実を目指します。
特別支援教育では、LD、ADHD、自閉症スペクトラム障がい等の発達の特性をもつ児童生徒のほか、学校生活や学習活動の上で支援を必要とする児童生徒に対応する特別支援教育支援員を配置することにより、個々に対応した教育を行います。

また、平成28年度より、スクールサポーターを倍増して24名配置し、特別な支援を必要とする児童・生徒に対して、基礎学力の定着や生徒指導及び進路指導の充実をきめ細かく図っており、今後も同規模の体制を維持して参ります。幼稚園においても、幼稚園教諭の資格を持つ保育サポート教員が、担任教諭の加配教員として、主に特別な支援が必要な園児の保育を行っており、平成30年度は、11名のサポート教員の加配を予定しています。
人員体制に加えて、LD等の障がいの内容によって、授業を受ける上でICTの活用も非常に有効であり、学校現場の一層の理解を促しつつ、より積極的な活用を目指していきます。

障がいの有無に関わらず、児童が地域の活動に参加し、多世代とつながることも、成長を支える上で重要です。国民文化祭と全国障がい者芸術・文化祭を同時開催した平成29年度は、パラアート展などの実施に加え、奈良県立高等養護学校二階堂分教室の生徒が第24回「天理の第九コンサート」に参加してくれました。第九を育んでこられた合唱団の皆さん、子ども達、保護者を含む観客の皆さま、全てが歓喜に満ちたコンサートとなるために、様々な努力と工夫を話し合い、結果として、天理らしい共生社会を体現する演奏会となりました。天理の魅力を活かしたインクルーシブな街づくりを、これからもより力強く進めていくため、市行政も努力して参ります。

いじめ、不登校等の課題に対し、子ども達の未来が歪められ、閉ざされてしまうことがないように、平成30年度も取組を行います。山添村と共同で行っている「スクールカウンセラー巡回相談事業」では、いじめや不登校等の要因が複雑化・低年齢化してきている中で、児童及び保護者へのカウンセリング、校内のケース会議等でのアドバイス等の一層の充実を図ります。また、いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待等の生徒指導上の課題に対応するため、教育に加えて、社会福祉等の専門的な知見をもつスクールソーシャルワーカーを巡回派遣し、家庭を含む児童生徒が置かれた様々な環境への働きかけ、関係機関等とのネットワークを活用した児童生徒への支援等を継続実施します。

また、各小中学校の「学校いじめ防止基本方針」に基づき、天理警察署、中央子ども家庭相談センターとも連携した対策を行うとともに、「いじめに関するアンケート」等による早期発見と早期対応に引き続き努めます。個々の事例への対応力を強化するため、臨床心理士や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を交えてのケース会議や研修会もより充実して参ります。
不登校、ひきこもり対策では、教育総合センターでの臨床心理士による来所・電話相談事業の実施に加え、心理学を学ぶ天理大学生「ゆうフレンド」による支援事業を継続します。不登校の子ども達にとって、復学までの中間的な施設である適応指導教室「いちょうの木教室」では、中学卒業後の進路も念頭に、将来の社会的自立を目的としたカリキュラムに基づくサポートを行います。子ども・若者総合相談窓口「夢てんり」では、相談員及び産業カウンセラーにより、進学・復学等を含む自立支援を実施します。平成28年度から、県下の就労支援機関の協力も得て、「しごとフェアinてんり」を開催しており、引き続き自立支援を積極的に進めていきます。

Ⅳ 垣根を越えた連携・協働で、暮らしやすく、住み続けたいまちをつくる
第四の柱は、「垣根を越えた連携・協働で、暮らしやすく、住み続けたいまちをつくる」です。地域において核家族化が進展し、個々の家族のプライバシー意識の高まりに反して、地域のつながりが希薄化しています。特に、高齢者の中には、一人暮らしなどで日常的な家族等の支援や近所からの支援も受けられないといった事態が生じており、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるためのベースとして、地域における支え合いの再構築が必要です。
本市の地域包括ケアでは、まず高齢者の健康を支援する取組を進めるために、市立メディカルセンターにまちかど相談室、地域包括ケア広場、健康ステーションを設けることから始め、つぎに在宅医療と介護の連携強化や認知症高齢者及び家族への支援を行うことで高齢者の在宅生活での自立を支援してきました。ご本人の了解を得て、医療及び介護に関する情報を医師や介護従事者が共有するシステムの運用も進み、現在まで115ケースで活用されてきています。 

また、市民の中から介護予防のためのリーダー的人材を育成し、そのリーダーが市内の集会所や自治会館において、運動指導を行っています。平成29年度は、公民館1カ所で3か月間、週1回の運動指導を行うことで、高齢者の運動習慣の定着化と地域サロンの創出を目指しています。平成30年度は、介護予防リーダーが中心となり、公民館5箇所に増やして実施する予定です

各地域包括支援センターや社会福祉協議会が行ってきた地域サロン活動では、各々の集まりの参加者の間で絆が生み出され、参加者同士が気遣い合う関係性が生まれています。この関係を一歩進めて、ゴミだしや電球の交換といったチョットした生活支援のサービスを提供したり提供されたりする関係、支え上手、支えられ上手になる、地域支え合いの再構築を行いたいと考えており、地域と連携しながら啓発活動にも力を入れて参ります。

高齢者世帯を対象とした食事を通じた交流と居場所づくりが、民生児童委員や食生活改善推進協議会をはじめ地元ボランティアの皆さまを中心に福住・山田などで定着してきました。柳本や式上でも、子ども達に加えて高齢者も気軽に集うことができる「なかよし食堂」として運営されています。市行政及び社会福祉協議会としても、これらの活動との協働を一層進めていきます。
支え合う地域社会の再構築のためには、民間事業者との連携も重要です。これまでに、大阪ガス、奈良コープ、JA、食事宅配業者等と「見守り協定」を締結してきましたが、各事業所が地域に根ざして活動される中で、高齢者の話し相手となり、詐欺や押し売り等の被害を未然に防ぐ等の効果も確認されています。また、平成29年度には、民間事業者の主導により、「病院通院などのためのバスの運行」、「住宅確保要配慮者の居住支援」などの新たな活動が地域と連携しながら進んでおり、行政としても全面的に協力していきます。

また、高齢化により車での買い物が困難となるいわゆる「買い物弱者」への支援として、平成29年度は、奈良コープと「住民の買い物支援事業に関する覚書」を締結し、行政及び地元が公民館や集会所敷地を販売箇所として提供し、コープ側は会員以外の市民も利用できるようにすることで、官民に双方にメリットがある事業を開始しました。日用品スーパーが不在である朝和校区及び柳本校区の計15か所で移動販売を拡大したところ、好評につき3月には北檜垣町が追加される予定であり、大変順調に進んでいます。地域のニーズに対し、民間と連携しながら、できることから一歩でも二歩でも応えていく努力を、引き続き行っていきます。

民間の資金とノウハウを活用し、将来の福祉に係る公の負担を軽減していく新たな手法「ソーシャル・インパクト・ボンド」の分野では、慶応義塾大学及びくもん学習療法センターと連携した本市の認知症予防教室「活脳教室」が、全国で初めての先駆的事業として注目を集めています。平成27年度から同教室に取組み、平成29年度は、成功報酬を事業者に支払う目安である、参加者の8割以上に認知症の症状改善が確認されました。今後も、本事業を継続実施する他、ソーシャル・インパクト・ボンドの手法の他事業への拡大も図っていきます。また、「活脳教室」では、参加者がボランティアのサポーターとの会話を楽しむ中で、症状の軽減だけでなく服装や髪形に気をつけるようになり、表情も明るくなった等の効果が見られます。社会とつながっていく前向きな意思の表れであり、認知症予防以外でも、心身の健康維持に大変意義があると考えています。

身だしなみがもたらす効果は、介護分野でも重視しており、天理らしいふるさと納税返礼品にも位置付けてきた「訪問理美容サービス」についても、要介護度4及び5の方に対して、介護保険事業の一環に含めて参ります。

国民健康保険については、平成27年5月に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、財政支援の拡充により財政基盤を強化するとともに、都道府県が市町村とともに国保の運営を担うこととなりました。都道府県は、安定的な財政運営や効率的な事業の確保について中心的な役割を担い、国民健康保険制度の安定化を図ります。市町村は、地域住民と身近な関係の中、保険料の決定及び賦課・徴収、資格管理、保険給付の決定、保険事業等、地域におけるきめ細かい事業を引き続き担うこととされています。

奈良県では、被保険者の負担の公平化を図るため、保険料水準の統一化により現行の保険料水準が急激に上昇する市町村については、平成30年度から平成36年度までの6年間の激変緩和をかけ、県内の保険料水準の統一化を段階的に進める予定です。本市では、制度改正による保険料の上昇は限定的ですが、医療費の高度化や高齢化により、医療費の伸びによる増額を行う必要があるところ、平成30年度以降、平成32年度までの3年間で、段階的に保険料率の改定の検討を行ってまいります。引き続き、医療費抑制に向けた取組に一層努力しながら、市民の皆さまのご理解を得て持続可能な運営ができるよう努めて参ります。

高齢化の進展に伴い、市民の皆さまが住み慣れた地域で安心して暮らし続けていく上で、地域公共交通の役割が高まっています。コミュニティバス「いちょう号」は、平成29年10月より「大和まほろば」定住自立圏ビジョン事業として、川西町の近鉄結崎駅への延伸乗り入れを実現し、二階堂校区を運行エリアに含めました。苣原線では、仁興町のバス停への延伸を図るなど、市民及び利用者の利便性の向上に努めてきました。
デマンドタクシーについても、北エリアで拡充するなど、よりきめ細かい運用を図っています。
現在、理論上は、デマンドタクシー及び既存の鉄道、奈良交通バス等を含めて現在天理市の交通空白地帯の96%が解消している状況ですが、高齢者を中心に生活実感としては、一層の充実が求められていることは認識しており、民間事業者との連携などの工夫も行っているところです。平成30年度は、より市民の皆さまの生活動線の実態に即して対応できるよう、次期の地域公共交通網形成計画策定を行う予定です。

災害対策をはじめ安心安全のまちづくりでは、平成29年10月に台風21号、22号が続けさまに到来し、特に台風21号では、市内で昭和57年災害以来となる多くの被害をもたらしました。
東部山間部の土砂崩れによる土木被害、農林被害、庵治町周辺の浸水被害、南部の土砂蓄積による河川及び農業用施設の被害などが発生しました。国の災害認定を受けて現在も復旧作業を継続しており、市道長滝上入田線、川原城下滝本線の道路災害復旧、柳本町の記念池、西門川の土砂浚渫等、道路は、平成30年6月末、河川につきましては、平成30年度末までの竣工を目指し取り組んでいます。
台風21号時には、避難勧告等に伴い、市内15の町を対象に5公民館を避難所として開設し、市消防団、消防署、警察、防災協定を締結している天理市建設業協会様などと連携しながら現場パトロール、土嚢積みなどの応急復旧、個人宅への避難勧告等を行いました。
また、台風22号の到来に際しては、二次被害防止のため、道路、河川を重点的に現場確認や応急対策を講じ、特に河川の浚渫作業、崩壊斜面の養生など、災害軽減のための備えを行いました。

その後、公費負担が困難な民有地の復旧のため、本市から天理教災害救援ひのきしん隊への初の出動要請を行い、福住町、山田町、苣原町などの7現場で土砂や流木の撤去、樹木の剪定及び清掃などを行っていただきました。
今後の課題として、避難所開設に関する市民への分かりやすい周知、避難所運営の対処、食料や備蓄物資対策、また自治会への連携強化などを行います。その他、水害時における自主防災組織の協力のあり方などについても、再検証して参ります。

災害時に支援や配慮の必要な方々、いわゆる「災害弱者」への対応として、本市では、「避難行動要支援者名簿」の作成を行っています。現在、約2千名の名簿を、自治会、自主防災組織、消防、民生児童委員に本人同意を得て情報提供を行っており、被害の減少を目指しています。また、要支援者の方々から要支援者名簿とともに個人プランの提出も求め、身体の状況、緊急時連絡先等を記載していただき、行政と自治会等と情報共有できるようにしました。引き続き、名簿の充実とともに、災害時の具体的な対応の整理などに取り組んで参ります。

また、平成27年に天理地区医師会、山辺・天理歯科医師会、天理市薬剤師会と「災害時における医療救護活動に関する協定」を締結し、大規模災害時に本市の要請に応じて市内9校区ごとに編成した医療チームを派遣し、医療救護活動に従事いただくこととなっています。すでに、各医療機関とも、天理市防災訓練にも参加され、医療救護訓練を行っています。平成30年度は、大規模災害時に行政と各医療機関がスムーズな連携が図れるよう、仮称「天理市災害救護班本部」を保健センターに設置し、本市の災害対策本部との間の情報伝達訓練を実施する予定です。

大規模災害だけでなく、本市においては、特に二階堂地区の浸水頻度が多く、平成26年度より二階堂校区浸水対策プロジェクト会議を立上げ、地元校区のご協力の下、奈良県とも連携し、浸水対策に取組んで参りました。これまで、二階堂駅前の浸水対策貯留槽工事や三の坪周辺の排水施設整備などを実施いたしました。奈良県としても、菰池に雨水を受けるための堰堤整備を平成28年度及び29年度に実施し、庵治調整池の整備も平成30年6月完了予定です。また市議会においても、天理市水害対策委員会が立上げられ、二階堂地区の浸水対策を優先的に検討いただいており、地域、議会、行政が三位一体となり更なる対策を協議いたしたく、よろしくお願いします。

その他、夜道をはじめ地域の安心安全を守り、犯罪に強い街をつくるため、平成30年度は、防犯灯LED化事業を実施し、市内の全防犯灯をLEDに交換していきます。これにより、これまで防犯灯の新設や維持管理に係っていた自治会等の事務手続きが簡素化され、電気代、電灯器具の交換等の負担が大きく軽減されることも期待できます。引き続き、地域のニーズに応え、地域と連携しながらの安心安全の街づくりに取り組んで参ります。

市民のニーズにお応えする効率的な行政の体制構築については、市民の皆さまの利便性・快適性の一層の向上をめざし、平成30年から1階フロアに市民課と保険医療課を中心とした総合窓口を設けました。住所変更や戸籍の届出などの住民異動にかかる主な事務を集約し、市民の皆さまが複数の課を移動する負担の軽減に取り組んでいます。また、総合窓口では税関係の証明書の発行も行なっており、来庁された方からは、「税の証明書も取れるようになり便利になりました」という声もいただいており、利用者目線に立って改善を継続していきます。

機構改革及び組織見直しでは、これまでの創生の4つの柱で述べた支え合える地域社会の再構築の拠点として、公民館を積極的に活用することを目的に、教育委員会の所掌事務である生涯学習及び公民館の管理に関する事務を、市長部局の職員に補助執行させるため、市民協働推進課に「公民館係」を置きます。これまで育んでいただいた生涯学習等の活動を、地域社会が高齢化する中で継続的に発展させていくためにも、子育てや健康づくり、地域活性化事業との連携を一層強化し多世代の絆づくりを行うことが重要です。一方、これ以外の社会教育を中心とする各事業は、教育委員会に残し、学校教育課の所管とした上で、課名を「まなび推進課」とします。
また、第1の柱で述べたとおり、女性の職業生活や地域における活躍の推進体制強化を目的に、くらし文化部の男女共同参画課を市長公室に移管し、課名を「女性活躍推進課」に改めます。10月からは、駅前ビルよりボランティアセンターを現在の男女共同参画プラザ内に移設し、複合施設「天理市市民活動交流プラザ」と改めます。
そして、災害時及び平時の双方で、地域住民の安心安全の確保のための速やかな対応を取り、また、警察や消防等との一体的な連携を含む業務の効率化を図るため、防災課と地域安全課を統合し、新たに「防災安全課」を設置します。

その他の行政効率化に向けた取組みとして、天理市庁舎、文化センター、市民会館、ふるさと園の4施設を対象に、民間の資金・ノウハウを活用して、設備を省エネルギー化改修し、CO2の排出量を削減するとともに、光熱水費の削減分で改修工事にかかる経費を生み出すため「ESCO事業準備調査等事業」を行います。また、未収金対策では、平成28年4月に債権管理条例を施行し、債権の管理を適正に行うための事務手続きのルールづくりを行ってきました。平成26年度より徴収アドバイザーによる面談指導を実施し、未収金の所管課が抱える事案等に対する助言・指導を行っており、引き続き職員のスキルアップを図って参ります。

行政効率化のためには、市町村の枠に捉われない連携や広域化も極めて重要です。本市は、「大和まほろば広域定住自立圏形成協定」に基づく磯城郡3町及び山添村との連携、県広域消防への積極的な参加など、これまでも周辺市町村との連携を積極的に行ってきました。そして、広域化に係る最大のプロジェクトは、いよいよ平成32年度の着工に向け具体的な準備段階に入る「山辺・県北西部広域環境衛生組合」10市町村による新ごみ処理施設の整備事業です。
平成29年度は、専門家及び地元各種団体代表等により構成される「新ごみ処理施設整備検討委員会」において、施設の基本仕様について議論いただき、平成30年3月末に、管理者である私が答申を受ける予定です。同委員会では、適用可能で安定した最新施設の導入を検討するとともに、法令等基準値よりも厳しい排ガスの自主基準値の設定や、耐震性の確保、新焼却施設における余熱を地域の福利厚生の向上のため活用すること等についても議論いただいています。平成30年度は、この答申を最大限尊重しながら内容を吟味し、実施設計及び施工に向けた発注支援業務の事業者を選定し、着工に向けた準備を進めて参ります。

また、環境保全に万全を期し、地元市民の皆さまに安心いただける施設とするため、奈良県環境影響評価条例に基づき、平成28年度から平成31年度までの4年間、環境影響評価を実施中です。平成29年度は、評価に係る項目と調査、予測、評価の方法を示した方法書を作成し、3月末に知事意見をいただく予定となっています。調査項目は、大気環境、水環境、土壌、動植物及び景観など11項目あり、地元説明会での意見を反映させるため、当初の調査地点から大気質で1地点、水質で4地点を追加しました。平成30年度、現地調査を実施し、平成31年度には、調査の結果に基づいて予測及び評価を行い、必要となる環境保全措置などを検討した結果を準備書として集約し、平成31年度末に結果を取りまとめた評価書を作成して環境影響評価を終了する予定です。
地元をはじめ10市町村民の皆さまとの信頼関係を第一に、環境保全に万全の対策を取りながら、地元の福利厚生、振興にも寄与する新ごみ処理施設を建設し、平成35年度に稼働開始することを、引き続き私の最大の使命と肝に銘じ、全力を賭して成し遂げて参ります。

以上、新年度の施政方針及び重点項目の概要を申し上げました。平成30年度は、本市のすべての計画の最上位に位置する「天理市第5次総合計画」と「天理市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が平成31年度に同時に期間満了となることから、新計画及び戦略の策定にも着手します。共に創り、支え合うマチ天理を目指して、「オール天理」が一つのチームとなり取り組んでいくための新年度予算へのご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

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