【施政方針スピーチ】平成26年度予算案:「出」を制す礎、「入」を量る種

3月施政方針1
3月施政方針2

 平成26年度当初予算案の提案を行うにあたり新年度における市政の展望と基本姿勢についての所信を併せて申し上げ、議員各位並びに市民の皆さまの御理解と御協力を賜りたいと存じます。

(はじめに)
 私が、市民の皆さまからの付託を受け天理市長として市政の舵をとり、はや4カ月の月日が経ちました。市長就任時より「市政は、市民の皆さまの幸福と市の発展のためにある。」という信念のもと、サービス業・行政経営の視点を第一に『チーム天理市役所』の運営を開始しています。市民の皆さまのためになることならば、前例にとらわれずできることはとことんやる。現実に照らして必要と判断すれば、地元をはじめ関係者の皆さまのお声を伺った上で、自らが責任を取る覚悟で方向転換もしていくという姿勢で、各施策に取り組んでいます。引き続きこの心構え、初心を大切にして参る所存です。
 
 市民の皆さまの生活は日々営まれ、市を取り巻く内外の状況も止まることはありません。市政に停滞は許されず、一見良く練られた、未来に向けた政策や案であっても、時宜を得なければ成果どころかむしろ弊害をもたらすこともあります。 
 
 民間の経営と同様に、市政においてもタイミングや緩急のスピード感が不可欠です。また、一部の観点から組み立てた施策も、予算の裏付けがなければ、或いは地元や関係者の皆さまとの意思疎通を欠き、現状とかい離していれば、実施することは困難です。常に、管理者目線ではなく、市の発展、市民の皆さまの幸福と市の発展本位という原点に立ち返り、例え継続案件であったとしても、事業の再検討には躊躇しない。これは、これまでの経緯や、関係者のご尽力を軽視する趣旨では全くありません。政策の「目的」を達成するために、常にその時々の最良の手段を、柔軟に、しかし不断に追求し、そして着実に実施していくことが、行政の義務であると私は確信しています。

 市長就任以来、数か月という短い期間の内にも、奈良及び近畿全体の発展と、その中での天理市の発展を目指したリニア中間駅誘致からの撤退表明、あるいは多額の費用と期間を要する前栽小学校新築・改築事業の見直し、道路アクセス網の重点路線の検討など、複数の案件において、私自身の公約に照らし、従来の方針を転換した事案もありました。これらに対し、多くの議員の皆さま、市民の皆さまからご理解とご協力を得たことに改めて感謝申し上げます。そして、天理市の持つ素晴らしい魅力と強みを発揮し、誰もが安心して心豊かに暮らすことができる街づくりに向け、「オール天理」で明日の天理を創っていく。共に市民のご代表である市議会の皆様方の一層のご理解とご協力をお願いするところであります。

(市制60周年の真の意義とは)
 さて、本年4月1日、天理市は市制60周年を迎えます。天理市にとって大きな節目となる平成26年度は、私の1期目の実質的なスタートの年であり、第5次総合計画の前期計画の最終年度でもあります。「60周年」をキリの佳い数字として単にお祝いすることに私は特段の意義を見出しません。この節目の年を次の2つの意義を持つ年といたしたいと思います。

 1つはこれまで積み重ねてこられた先人のご尽力を市民の皆さんと実感し、感謝する「実りの年」、もう1つは、本市が今後さらなる発展を遂げるための「未来を指し示す年」、であります。
 
 60周年記念事業のキャッチフレーズとして、一般公募の中から「60年 活かして創ろう 天理の未来」という言葉が選ばれました。4月2日の記念式典を皮切りに、年度を通じて様々な市主催や連携事業などを実施して参りますが、各イベントの盛り上がりに留まらず、それぞれを今後の天理市を「活かして創る」ための礎として位置付けて参ります。そして、60周年事業は、記念の事業やイベントだけではありません。私は、昨年12月議会の冒頭、私自身の天理市議会における初の所信表明の中で、「出」を制し、「入」を量る、この両立が重要かつ不可欠であるとの認識を述べさせていただきました。これから本議会でご審議いただく平成26年度予算案。ここに盛り込まれた施策が全体として、将来の「出」を制すための布石であり、そして「入」を量るための種であること。また行政に留まらず、市民の皆さまと地域の力を十分に活かし、未来を担う世代を育む道筋をつけること。それこそが、真の意味での天理市の「60周年事業」であると私は考えております。

(平成26年度予算の全体像)
 かかる認識の下、議案第9号、平成26年度天理市一般会計予算についてご説明申し上げます。
 一般会計予算額は、歳入歳出ともに236億6000万円。前年度比で8000万円、0.3パーセントの微増ですが、これは消費税増税に伴う臨時福祉給付金等によるものであり、右を除いた額は、233億6400万円、前年度比マイナス2億1600万円と0.9パーセントの減となります。経常収支比率が高い硬直的な財政構造の中でも、引き締めるべきは引き締め、「出」を制し、「入」を量るための布石となる新規事業については盛り込んだと認識しています。

(歳入)
 先ず、歳入についてですが、市税は新築家屋の増加などによる固定資産税の増加はあるものの、個人所得の伸びが見込めず総額73億9400万円、前年度当初予算から1200万円の減収となる見込みであります。地方交付税は、新たな算定項目が設けられるなど算定の見直しなどにより、56億3400万円を見込み前年度に対して1億4400万円の増、地方交付税を補完するための臨時財政対策債の発行額は、前年度に対して1億5100万円減の11億2600万円を見込むにとどまっており、これらを合算した実質的な地方交付税は、前年度に対して700万の減となっています。他方、市債の発行額は、15億9900万円であり、退職手当債、臨時財政対策債などの減少により昨年度を下回る発行額となっています。そのため、平成26年度末の市債残高は、249億9400万円、昨年度比で8億1100万円の減となることを見込んでいます。また、必要な一般財源確保のため、財政調整基金から5億8900万円を取り崩さざるを得ない状況ですが、歳出削減により昨年度よりも1億6100万円少ない取り崩し額となっており、平成26年度末時点で財政調整基金の残高は14億8300万円で推移する見込みです。
 
 「入」を量るためには、即効性のある公有財産の活用などに加え、「既存の歳入の確保」「新たな歳入の創出」「歳入の源泉の涵養」などの視点により中長期を見据えた対策が必要です。市内に居住する現役世代の増加のための生活満足度向上と街の魅力創出、雇用と法人税の確保に向けた企業の新規誘致・定着支援などの施策も、歳出を将来の歳入増につなげる投資とし、「活き金」とする視点を重視して参ります。また交付金に限らず、国や県事業をはじめ様々な「入」を広く捉えた場合、全国万遍なく富が再配分される「建前」は既に崩れつつあり、自ら活性化のために汗をかく地域の元気を国・県がバックアップする時勢であることを冷厳に捉える必要があります。国全体で期待が高まる成長の果実を市内に引き込み、国及び県事業や予算を呼び込む気構えを持たなければなりません。各種交付金の対象となる事業の「タマ込め」に加え、本市は国が進めている「定住自立圏構想」において県内では唯一「中心市」を宣言する要件を満たしていることから、周辺自治体との連携事業を進めることにより、積極的に将来の特別交付税増額を図る取り組みも進めて参りたいと考えています。

(歳出全般)
 次に、歳出について申し上げます。
 目的別歳出の状況をご説明しますと、民生費は94億6500万円と前年度比3.1パーセント増加しております。これは、急増する障害福祉サービス関連の扶助費支出や生活保護費の増加、消費税増額に伴う臨時福祉給付金等によるものです。将来的に懸念される一層の負担増に対し、健診受診率の向上や介護予防など幅広い「先回り」の対策が必要であると認識しています。

 土木費は、29億7000万円で、前年度比較12.9パーセントの減少です。これは、街路に関する国庫事業の縮小、二階堂駅北の浸水対策が計画2年目に入ったこと、下水道事業への繰出金減少によるものであり、安易な土木費の縮小圧力を掛けた結果ではありません。老朽化に伴う施設修繕や耐震化、道路・街路整備事業、懸案となっていた二階堂地区浸水対策などに引き続き多額の経費が見込まれる中、地域の御要望にも配慮しつつ、市の活性化と安心・安全の確保等に重点を置き、メリハリの利いた建設事業を実施することが重要であると認識しています。

 教育費の予算額は、28億7400万円で前年度比3.3パーセントの増額となっており、地域からの要望が長年募っていた前栽小学校整備事業への着手、丹波市小学校の校舎耐震補強工事などを盛り込んだことが主な増額要因です。未来を担う子ども達に安心・安全かつ充実した学習環境を整えることを引き続き重視して参ります。

 続いて、主な事業について要点をご説明申し上げます。

(「出」を制する礎、「持続可能な行政運営」)
 将来の「出」を制し、真に市民に貢献できる、柔軟で持続可能な行政運営を行っていくために、就任後の所信表明でも申し上げた行政評価や、人事マネジメントの強化のための予算を計上しています。また、様々な公共施設が老朽化する状況の中、公の施設を全体として捉え、改修繕のみならず光熱水費等の最適化や効率的運用を行うファシリティ・マネジメントを着実に推し進めるため、この分野での高い実績をもつ早稲田大学のご協力を得て、公共施設の在り方を質・量の見直しを行う官学協働研究事業を26年度及び27年度の2カ年で実施する考えです。
 
 また、社会保障・税番号制、いわゆるマイナンバー制度導入に向け、新年度より住民情報システムの改修に入るなどの取組を進めるとともに、本年度予算措置はしていませんが、マイナンバー導入に合わせて住民票等証明書のコンビニ発給導入など、市民の利便性向上と業務効率化を遅滞なく行うための検討を行って参ります。

(街づくりの柱)
 次に、街づくりについて市民の皆さまとのお約束である「7つの柱」の他の6本に沿って申し上げます。

1.命を守り、誰もが安心して暮らせる街づくり
 「命を守り、誰もが安心して暮らせる街づくり」に向けて、防犯・防災、災害対策では、自助・共助・公助の考えを組み合わせ、自主防災組織や消防団の装備面も含めた充実、連携の強化、耐震診断の補助充実などに取り組みます。浸水対策や治水事業などハード面での取組や、高齢者や子育て支援をはじめとした各種福祉施策の充実を行います。

 また、二階堂地区浸水対策として、二階堂駅北側雨水貯留施設と排水施設を結ぶ連結管設置工事を実施し、また、新年度の予算措置は行っていませんが、長年の懸案である「三の坪」対策として、先ず避難場所でもある二階堂小学校グラウンドへの浸水防止を第1目標とした対策を地域の皆さまとともに検討する取組みを全庁横断的に開始する考えです。

 高齢者対策では見守り事業の充実に加え、地域の絆の強化、介護予防の観点からも長寿会などの活動を支援します。高齢者の皆さまの貴重な御知見を街の活性化や絆づくりに活かし、高齢者の皆さまにもやりがいを創出する好循環を目指した取組みを重視して参ります。
 障害者支援、児童福祉対策、母子福祉対策もこれまで立案された各種計画の着実な実施とともに、予算の制約内での一層の充実を図ります。子ども医療費助成については、県の助成範囲の拡大に伴い、入院について中学卒業までに拡大実施します。
 
 また、健康福祉面での主な事業として、新年度より市立病院が「天理市立メディカルセンター」に改編され、地域の医療ニーズに応える無床診療所として生まれ変わります。内科、外科、婦人科の診療科目に加え、健診センター及び睡眠呼吸障害センターの機能を備えるとともに、地域の医療ニーズに応えるため、小児科も併設すべく条例改正案を今議会上程しております。また、新メディカルセンターの建設・管理事業を予算計上しています。

 また、(仮称)環境連絡協議会を立ち上げ、豊かな自然を生活満足度向上に繋がる具体的なプロジェクトの検討を行うとともに、クールシェア事業などの環境施策を実施するとともに、持続可能なゴミ処理体制の確立に向けた取組みとして、クリーンセンターの長寿命化に向けた検討調査、ごみ減量化・資源化を実証するためのモデル事業を実施します。

 また、格差の進行、児童虐待、高齢者虐待、DV等の増加などの社会の変化に伴う諸課題に対して、人権センターを起点としつつ関係機関等とも連携を深め、人権尊重の街づくりを引き続き進めて参ります。

 市民の命を守り、全ての方に慣れ親しんだ地域で、安心感を持ってお暮しいただける街を目指し、これら様々な角度からのアプローチを総合的に進める考えです。

2.未来を担う子どもを育む街づくり 
 未来を担う子どもを育む街づくりについては、いじめ対策や特別支援の充実などのソフト面と、耐震補強などのハード面の学習環境の充実を着実に行います。施設面では、特に前栽小学校の耐震性のない旧校舎及びプレハブ校舎の解消を図り、平成27年度末の事業完了を目途に、新築・改修事業の第1段階として仮設校舎の設置等を本年度予算に計上しています。また、教育充実に貢献いただける人材が地域に多数いらっしゃる天理ならではの強みを活かすため、地域の社会資源を活用した教育活動支援のモデル事業を開始します。

 教育が豊かな街として天理をブランディングすることは、現役世代の人口増加を図る上でも重要との認識の下、地域や天理大学をはじめとした民間教育機関・施設とも連携しつつ、教育の質的向上を引き続き図ります。

3.にぎわい、つながる街空間づくり
 「にぎわい、つながる街空間づくり」について、10年先を見据えた市内の活性化に向けたプロジェクトを推進するため、新年度早々に「街づくり協議会」を発足させます。

 具体的には、天理駅前周辺地区、柳本校区を中心とする南部地区、福住校区を中心とする高原地区、これら3地区において、それぞれ協議会を立ち上げ、活性化にむけた具体的な協議を行います。とりわけ天理駅前周辺地区では、第1段階として、現状では残念ながら通勤通学時間帯を除いてむしろ閑散としている駅前広場を中心に空間デザインを行います。同広場を、日常から人が集う空間として、本通りに繋がる動線を賑わせるとともに、市外からの訪問者を迎える市の玄関口として、天理の魅力・豊かさを発信する場に生まれ変わらせることを目指します。また、将来的な視点からは、市の「1丁目1番地」から、市全体に元気の裾野を広げていくための拠点と位置付けます。県とも連携し、地権者を含む関係者に加えて、市議会を代表する委員、外部有識者の参加を得た協議会を発足させ、新年度中に内外にアピール力をもった具体的な形を提示するため、基本構想の策定に要する予算計上を行っています。

 また、市民生活を向上させ、市内に景気回復の果実を呼び込むための道路アクセスの充実や地域交通の改善に向けた取組を積極的に行います。都市計画街路事業では、別所丹波市線の早期事業完成を目指し、勾田櫟本線の27年度完成に向けた道路改良工事を進めます。東西のアクセス改善のため、北大路の分断個所の間接的開通のための用地購入・整備を行います。また国道169号線と24号線間の南北アクセス向上を目指し、来年度予算計上は行っていませんが、都市計画道路の見直しも含めた取組みを県とも連携して行って参ります。その他、区画整理事業等についても、計画策定時からの状況変化などを踏まえ、実情にあった見直し作業を進めていく考えです。

4.天理の強みを活かした産業の活性化
 「天理の強みを活かした産業の活性化」については、商工業の振興に向けた企業や商工会等への支援充実を図り、本年度好評を得たプレミアム商品券発行事業への補助、意欲ある中小事業者の経営力向上に向けた取組み支援などを行います。産業競争力強化を重視した庁内の体制整備を行い、企業の誘致・定着に向けた優遇強化を準備するとともに、企業誘致しようにも企業にとって魅力的な一定の土地確保が都市計画上、難しいという現状を客観的に認識し、民間のスピード感にも対応可能なように庁内横断的な検討を進めます。

 また、農業振興に向けた特産品開発、販路拡大などに引き続き取組み、耕作放棄地対策を観光、地域の絆創り、教育などの観点も併せて行います。市内農産品の発信については、県との連携も強化し、これまでの事業に加え、駅前広場の空間整備も見据えたイベントなども進めていく考えです。

5.天理の強みを活かした街の魅力づくり
 天理の持つ豊かな自然、歴史・文化遺産、スポーツや音楽などの魅力・強みを活かした街の魅力づくりに向けた取組みを、県や周辺市町村との連携を一層強化しながら、積極的に推進して参ります。

 新年度は市制60周年の節目の年であり、周遊観光と産業振興などを横断的に捉え、相乗効果を上げることを重視し、周年事業のみならず、既存事業も含めて総合的に効果を発揮することを目指します。本年度に第9回が実施された「天理な祭り」は、天理の豊かな文化芸術、音楽などをバランスよく市内外に発信し、楽しんでいただくためのイベントとして内容の全面見直しを行い、商工業への効果をより重視するとともに、市外から多数の参加者がある「てくてくてんり」や天理大学学園祭と同時開催し、効果の最大化を図ります。

 また、天理の豊かさ・魅力も市内外に十分発信されなければ「宝の持ち腐れ」です。本年度末にリニューアル予定の市ウェブサイトやSNSの一層の活用、市広報紙の見直し、新聞社やTV局など各種メディアに対する発信力の強化を行うとともに、天理駅前の「ナビ天理」についても、駅前活性化プロジェクトの一環と位置付けて物販も含めた魅力発信拠点として根本から再整備を目指します。

6.市民・地域との協働の街づくり
 最後に、「市民・地域との協働の街づくり」に向けて、新年度より市民の皆さまと地域の課題解決などに向け直接対話するタウンミーティングを実施するとともに、区長連合会やNPO、ボランティア団体等との連携を強化して参ります。ボランティアセンターを中心として、ボランティア講座の充実やボランティア情報の発信強化に努め、同センターが市民活動の拠点としての機能を果たせるよう努めてまいります。
 また、地域の力を街創りに活かす取組みの一環として、天理市・天理大学包括連携協定を新年度に締結し、これまでの協力事業の拡充、新規連携事業の創出の基礎とします。天理大学の豊かな人材、施設、資料等を天理市の魅力向上、活性化に繋げるとともに、地域と協働する大学として同大学に市との連携事業を積極的に活用いただくWin-Winの関係を目指して参ります。

(機構改革)
 以上の施策を着実に実施し、「縦割り」を乗り越えた「チーム天理市役所」を効率的に運用するため、新年度より一部組織体制を見直します。具体的には4つの課を新設いたします。

 市長公室において、企画政策課と行政改革推進課を統合し総合政策課を設置いたします。総合政策課においては統合した2課の所掌事務に加え、街づくり協議会の担当をはじめ市活性化に向けて、いわゆる横串を通す、私自身、そして今議会に選任をお願いしたいと考えています新副市長、市長公室長のラインの下での「司令塔」の役割を果たし、また同課の指揮下で企画、行政経営を室として設置します。また、共創の理念から発信力の強化と協働の街づくりを強化していくため、自治振興課を広報課と市民協働推進課に分割し、それぞれ機能強化に努めます。

 環境経済部において、商工課と観光課を統合した産業振興課を設置いたします。産業振興課においては統合した2課の所掌事務に加え、産業競争力の強化や企業誘致等について一層積極的に取り組んでまいります。
 
 また、現状の部及び課の構成は維持しつつ、各所掌の範囲を超え、横断的に取組む必要がある案件については、プロジェクト・チームを組織し、私自身、そして新副市長が進捗に責任を持って果敢に施策を推進していきます。機構改革に合わせて、浸水対策、幼児教育・保育、通学路の安全確保、地域包括ケアシステム、定住自立圏構想に対する本市の取組み、簡素な給付措置の確実な実施、メディカルセンターの推進などの各分野においてチームを結成する考えです。

 以上、新年度の施政方針及び重点項目の概要を申し上げました。繰り返しになりますが、新年度予算案は、国の施策として実施予定の簡素な給付金への対応部分を除きますと、実質的には微減の緊縮予算となっています。他方で、人件費、扶助費、公債費の義務的経費は135億5500万円で、予算全体の57.3パーセントを占め、前年度比較で0.9パーセントの増となっています。少子高齢化が進み、多数の市内施設が老朽化する「老いる街」の問題は本市においても深刻な問題であり、扶助費が年々増加し、今後数年間の内にも前栽小学校の新築・改修、メディカルセンターの新築などの大規模建設事業が見込まれる中、基金の取り崩しにより財源を確保することにも限界があります。

 今こそ、「市民の幸福が全て」という原点に立ち返って各事業の効果を見定め、惰性を排して「出」を制しつつ、先人の積み重ねによって形成されてきた本市の潜在力を引き出し、「入」を量るための種をしっかりと蒔き、着実に実行する時です。緊縮の中にも未来に繋がる事業を盛り込んだ新年度予算への御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。

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