駅のわきの機関車

天理駅のホーム脇にある公園に、一昔前、多くの団体客を乗せた機関車が「置かれて」います。屋根は一応かかっていますが、古びてペンキは所々はがれ、特に客車部分は傷みが目立ちます。
保存状態のために、展示物としては、残念ながら時とともに「価値」が下がってしまい、
また歴史の証言者としては、往時の賑わいを伝えてくれると言うよりは、
むしろ物悲しい印象を私は受けます。

ほかの街にもいた現役子育て世代としては、子ども達が中で遊べたりすれば喜ぶだろうな、とも思いますが、
ケガでもしたら困るのか、フェンスで囲まれ「立入禁止」の掲示が。

設置した当時はともかく、今なぜこの機関車が置かれ続けているのか、目的が私にははっきりしません。
今さらスクラップにするわけにもいかないし、とりあえず、あり続けているような…。

ですがこの機関車も、人がより集い憩う空間デザインの一貫として、場所を移し、例えばペンキを塗り直し、危険な部分は溶接でもして、子ども達が乗れるようにすれば、新しい命を吹き込むことはできると思います(場所の確保と予算によりますが)。

古いものを、ただ惰性で置いておくのではなく、
あるいは、ただ壊して新しいモノにすげ替えるのでもなく、
明確な意図の下で、古い価値を尊重しながら新しい要素も足し、全体として付加価値を高める、
そんな工夫が活性化のためには必要ではないか。

街創りになぞらえて、
この機関車の前を通る度に、そんな想いがしてきます。

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